生きている土壌とは?
土は生きている?
私達は自分達で植えた植物が育ちやすいようにと肥料を与えたり、害虫が付いたりすると薬品を散布したりします。
しかし、それは私達が『管理しやすいように』しているだけであって、土壌に生息する植物や動物の視点から見たらどうでしょうか?
過度な殺虫剤等の投与は植物にとっては益虫まで駆除してしまうこともあるし、化学肥料は速効性や肥料分を多く供給出来ますが、土壌を弱くしたり植物自身も病気に弱くなったりします。
土が生きているということは、例えばミミズなどは落葉を噛み砕いて土をフカフカにしてくれますし、カビなどは土壌中の有機物を植物の栄養源となる無機物に分解してくれます。これらの土壌生物がいることが”生きている”土であることの証拠なのです。
有機栽培&減農薬栽培は土壌動物の協力無くして成立しない
無機質の肥料(化学肥料)を土壌に散布し続けると塩害の原因となったり、栄養分が豊富すぎてかえって植物の成長に障害を与えてしまいます。
そこで有機物を土壌にすき込んだり、化学肥料の使用を避けて有機肥料を使用したりしますが、植物がこの有機物を取込むには無機物にしてくれる“仲介者”である土壌生物達が不可欠になります。
この土壌生物が少ないと、いくら有機系の改良材を土壌に加えても、それを有効な状態に出来ないため中々効果が表れにくくなります。
例えて言えば、家を建てるために建材は用意したけれど、大工さんがいないと言ったところでしょう。
葉っぱの微生物を活性化するには
微生物は土壌の中だけにいると考えられがちですが、実は葉っぱの表面などでも微生物は活動しています。葉っぱにいる微生物は抗菌物質を出し、病原菌を抑制してくれるばかりではなく、病原菌に寄生して病原菌を退治してくれるものもあります。
葉にいる微生物を増やし、病気を防除してくれる効果があるものとして“米ぬか”が有効と言われています。米ぬかはリン酸・マグネシウムなどのミネラルやビタミンが豊富です。
米ぬかの与え方(参考)
①葉っぱにバラバラ撒く方法
②少量を指でつまんで刷り込む
③水にとかして(水500mℓに大さじ1杯程度)上澄み液をスプレーする
などがあります。
※米ぬかには塩分が入っていないものをご使用ください。塩分が入っていますと、かえって植物を痛めてしまいます。
堆肥を投入することで土壌微生物を増やせる
保水性や排水性を良くするために土壌に堆肥を混ぜ込むことが有りますが、この作業には土壌微生物を増やす効果もあります。
堆肥の元となる原料には植物や家畜のフンなどが使用されますが、これらの堆肥に含まれる有機物が土壌微生物のエサとなりますし、堆肥自体にも土壌微生物が含まれていますので、土壌にはこれまでいなかった微生物も増えることになります。
土壌にいる微生物が多様になればなるほど、生態バランスは安定して病気菌などを抑制して健康な植物を育てる土壌が出来上がっていきます。
また堆肥をすき込む作業をする時は、土が適度に乾いているのが理想的と言われています。これは土に水分が多すぎると耕した後に土が固まってしまい、逆に乾燥し過ぎていると土が粉々に砕けてしまうため、適度を見極めて作業するようにしましょう。
微生物の力を借りて植物を育てる
葉っぱや土壌を手入れすることによって土壌微生物を増やし・味方につけることが出来れば植物にとってはとても環境が良くなり、健康に育つ環境が出来ていきます。
微生物が豊富であれば酸素も水も良く通りますし、土壌酸度もpH5.0~6.0の弱い酸性をキープしてくれます。
また葉っぱに撒いた米ぬかには乳酸菌が含まれており、乳酸菌が繁殖するとpH4.5以下の酸性状態となり、この状態ではほとんどの病原菌が生活していくことは出来ないと言われています。
自然由来の堆肥や米ぬかなどを利用して、微生物を増やすことにより、その力を借りて健康な植物を育てられる土壌を作りましょう。
過去に土壌や肥料について特集した記事です
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