園芸資材・農業資材・造園資材・花材の総合問屋、青森県平川市(弘前市のすぐそば)末吉商店です。植木鉢、肥料、園芸用・農業用の用土、薬品、造花、しめ縄、苗、球根・縄、ムシロ、カメなど東北で一番の取り揃えでお客様のご要望に応えます。

農薬ってなんだろう?

「栽培」は自然ではない?

ジャガイモ 農園元々自然に野生している植物は、1種類の植物が大量に広い面積で自生していることはありえません。野生している植物の収穫量を上げたり、美味しくしたりと様々に品種改良して栽培用の品種が出来上がっていきます。
人が食糧用・観賞用など様々な目的で植物を育てることを「栽培」と言います。品種改良など人の手を加えていくことにより、植物たちはだんだん人の手がかかることが必要となり、「自然」では無くなっていくのです。

人間に好都合=病害虫にも好都合

人が食糧などに植物を栽培すると、収量が多く、美味しくて、大量に生産出来る事が求められます。この状況は人ばかりでなく、病害虫にとっても非常に都合が良いのです。
元々野生の植物は子孫を残すために進化してきました。その植物を品種改良して人に都合の良いものに作り替えると、どうしても養分が不足したり、病気や害虫がつきやすくなったりと自分自身を守る機能が低下してしまいがちです。
この低下した機能をフォローする目的で農薬が使用されています。

どんな時に農薬を使うのか?

きゅうり 花芽例えばキュウリを家庭菜園で栽培したとします。
ウドンコ病などの病気になったり、アブラムシなどの害虫がついてしまう場合もあります。
病気にならないように殺菌剤を散布したり、害虫がついてしまった場合には殺虫剤を散布したりします。
この時に使用する薬剤を“農薬”と言います。
出荷目的・趣味・観賞用を問わず、人が栽培している植物に使用する薬品は農薬を使用することが法律により定められています。

農薬には用法・使用回数が定められています。

農薬 肥料の散布人が薬を使用する時も、症状などによって使用回数が制限されているように、農薬にも用法や使用回数が定められています。
過度に投与すると、かえって植物に悪影響を与えてしまったり、植物に残留してしまったり土壌を汚染してしまうことにもなりかねません。
農薬として認められるには、厳格な審査を受けて安全性が確認されないと農薬として認められません。用法や使用回数は“その範囲内で使用すれば安全性に問題ない”とされる範囲なので、必ず守って使用してください。

農薬の定義

農薬は「農薬取締法」という法律で、その定義が定められています。
原文で記載するので少し難しいかもしれませんが、以下のとおりです。

農薬取締法(定義)

第一条の二   この法律において「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられるもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。
2.前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬とみなす。
3.この法律において「製造者」とは、農薬を製造し、又は加工する者をいい、「輸入者」とは、農薬を輸入する者をいい、「販売者」とは、農薬を販売(販売以外の授与を含む。以下同じ。)する者をいう。
4.この法律において「残留性」とは、農薬の使用に伴いその農薬の成分である物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を含む。)が農作物等又は土壌に残留する性質をいう。

出てきた単語「農薬」と「農作物」を説明すると

農薬 散布1.農薬 農作物の防除(病害・虫害を防ぎ除くこと)・育成に用いられる薬品や生物のこと。
2.農作物 およそ人が意図的に栽培する植物すべて
※野菜・花卉類の栽培、家庭菜園、観賞用(庭園等)なども含まれます。

農薬取締法には罰則があります。

農薬取締法に違反すると、罰則が果たせられます。
例えば、販売に係る義務違反に問われると
○三年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(個人)
○1億円以下の罰金(法人)
また、使用に係る義務違反では
○三年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(個人)
個人・法人ともに重い罰則です。

農薬とされるもの

農薬かどうかを見分けるには、商品のラベルに農林水産省登録 第○○○○○号と記載されていることが義務付けられています。
次に農薬とされるものには、用途などによって次の10種類に分類されます。

 ア 殺虫剤 農作物を加害する害虫を防除する薬剤
 イ 殺菌剤 農作物を加害する病気を防除する薬剤
 ウ 殺虫殺菌剤 農作物の害虫、病気を同時に防除する薬剤
 エ 除草剤 雑草を防除する薬剤
 オ 殺鼠剤 農作物を加害するノネズミなどを防除する薬剤
 カ 植物成長調整剤 農作物の生育を促進したり、抑制する薬剤
 キ 誘引剤 主として害虫をにおいなどで誘き寄せる薬剤
 ク 展着剤 ほかの農薬と混合して用い、その農薬の付着性を高める薬剤
 ケ 天敵 農作物を加害する害虫の天敵
 コ 微生物剤 微生物を用いて農作物を加害する害虫病気等を防除する剤

農薬ではない薬品

先の項目でお伝えした農薬とされる薬品の分類ですが、種類によっては農薬でない薬品も一般に市販されています。
なかには薬品の成分が一緒でも、農作物には使えない分類で市販されている商品もあるので良く説明書などを読んでから使用してください。例として何点か書き出してみます。

殺虫剤

①農作物の害虫を退治する薬品が農薬である殺虫剤です。
農業用には農林水産省の登録番号が記載されております。
【害虫としてはアブラムシ・ケムシ・ハダニなど】
②衛生害虫を駆除するのは防疫用殺虫剤とよばれる殺虫剤があります。こちらの殺虫剤は主に家庭用として市販されています。
【衛生害虫とはハエ、カ、ゴキブリなどが分類されます】
※薬剤の成分が同じだったとしても、農薬殺虫剤を家庭用に使用したり、防疫用殺虫剤を農作物に使用することは出来ません。

殺鼠剤

殺鼠剤にも農業用と家庭用とがあります。こちらも農薬には農林水産省の登録番号が記載されております。
家庭用の商品には「防除用医薬部外品」と記載されており、厚生労働省が許可を出している商品です。
※たとえ同じ薬剤が使用されていても、処方の仕方や残留に関する点などで違う点がありますので、それぞれの用途別に使用してください。

除草剤

除草剤には農薬登録のある商品と、無登録除草剤が市販されています。
農薬登録商品のなかには「農耕地用」と「非農耕地用」があり、それぞれ使用できる場所や時期などが指定されております。
一方、無登録除草剤は使用できる場所が限られている除草剤なので、取り扱いに注意してください。

植物にも人にも安心して使用していただくために

薬品 安全に使用人が使用する医薬品でも、多用したり、誤った用法で用いると体に悪影響を及ぼすことがあるように、農薬でも用法を守らないと、安全に使用することは出来ません。
もう一点、医薬と農薬が違う点は、農薬は“予防”で使用されることが多いことです。特に殺菌剤などは病気がついてしまった葉っぱなどを元どおりに治療することはかなり難しいのです。
病害虫がつかないようにしっかりと予防することが、もっとも農薬の使用回数が少なくて済むことに繋がります。

今回は難しい内容が多かったと思いますが、農薬を安全にご使用いただくために、ぜひとも紹介したかったので、ご容赦願います。
農薬に限らず、薬品は用法・使用回数など説明書を正しく読んでからご使用を願います。
長文をお読みくださり、ありがとうございました。

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