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消石灰の使いかた

土壌改良 酸度調整 石灰植物を元気に育てるには、それぞれに合った環境を作ってあげることが大切です。特に、植物が育つ土壌はアルカリ性や酸性といった酸度(pH)によって、それぞれの植物により好みが違い、異なる酸度の土で育てると生育が悪くなり枯れてしまうこともあります。
植物が好みとする土壌の多くは弱酸性ですが、降雨の多い日本では土壌が酸性に偏りがちになりやすい傾向があります。土壌に酸性の陽イオンが入りすぎると、他に必要な要素の陽イオンがまけてしまい、ミネラル不足や、土壌が硬くなってしまうなどの障害が起こります。
消石灰は、酸性に傾いた土壌をアルカリ性に変えるために欠かせない資材の1つです。今回は、消石灰とはどんなものなのか、使用方法などについてご紹介いたします。

土壌改良 酸度調整 石灰土壌の酸度調整に関する特集はこちら☞

消石灰とは?

土壌改良 酸度調整 石灰実は消石灰という名前は通称のように使われている名称で、化学的には“水酸化カルシウム”と呼ばれる物質です。この水酸化カルシウムはCa(OH)2と表しますが、Caはカルシウム、Oは酸素、Hは水素なので、これらの化合物ということになります。
水酸化カルシウムは強アルカリ性の物質で、これを酸性に傾いた土壌に散布し、中和する作用を利用して、植物の生育に適している弱酸性の土壌にするという訳です。
また、野菜の生育にとって重要なカルシウムの補給も出来ます。野菜づくりに重要な3大栄養素としてチッソ、リン、カリウムが挙げられますが、その次に必要量の多い栄養素の中にカルシウムがあります。カルシウムは細胞壁の原料となるため、新しい細胞が作られる成長点や根の先端で特に必要となります。またカルシウムを十分に吸収した野菜は、病気に強くなることが分かっています。
このカルシウムですが、水に溶けやすい性質のものが多いため、雨の多い日本の気候においてはもともと不足しがちな傾向にあります。特に窒素肥料を入れ野菜の急速な成長を促す農業現場においては、カルシウムの供給がこれに追いつかないと障害がすぐに出てしまうため、積極的に補給されています。

散布する際の注意点

土壌改良 酸度調整 石灰強アルカリ性であることから、粘膜や皮膚に直接触れると、炎症を引き起こす可能性があります。過去には目に入って失明してしまったという例も報告されています。消石灰の使用時には、必ずマスクや長袖、手袋、保護メガネを着用して作業をしてください。最近では風に吹かれても飛散しづらい粒状の消石灰も市販されております。
また、消石灰はカルシウムの補給、酸性土壌の中和としてとても効果的で多用されてきたのですが、使いすぎることによって、石灰が蓄積し土壌環境が悪化してしまう例もあります。不足しているカルシウムを補うことや酸性土壌を中和することは簡単なのですが、その逆は難しくとても時間がかかるので注意が必要です。具体的な失敗例として3例ほどご紹介致します。

○カルシウムが過剰になりすぎる例

カルシウムは野菜の生育にとても重要ですが、過剰になることで障害が出ることもあります。カルシウムが不足する場合は補えば良いのですが、逆に過剰なカルシウムを抜くことはかなり困難な作業となってしまいます。
カルシウムが過剰になると他のミネラルの吸収を邪魔してしまうので、他のミネラル欠乏症状が起きやすくなります。今の時点で石灰を使用していなくても、以前その土地を使っていた人が石灰を多量に使用していたことで、カルシウムの過剰障害が出てくるというケースもあります。

○土が硬くなりすぎる例

特に消石灰などのアルカリ性の強い石灰資材を多く用いると、土壌の団粒構造が破壊されてしまい、土がしまって固くなってしまいます。そうなると土壌中の微生物が生きにくい環境となり、根の生育も鈍るので、さらに固くなるという悪循環に陥ります。
また土中に染み込んだ石灰分が硬盤層で蓄積し、非常に硬い地層を作ってしまうケースもあるようで、こうなると植物が深く根を張れない、土壌生物が増えない、地下水の吸い上げが行えないなど様々な障害があり、一度この層ができてしまうと簡単には取り除けないので、非常に厄介な状態になってしまいます。

○アルカリ性に傾き過ぎる例

土壌がアルカリ性に傾き過ぎると、リンや鉄やマンガンなどの栄養素が吸収できなくなり、野菜の生育に障害が出てしまいます。硫安などの酸性肥料やピートモスなど使って、即効で土壌を酸性に傾ける方法もありますが、土壌へのダメージが大きく、結局アルカリ性に戻ってしまう場合もあるため、良い方法とはいえません。

散布する前に必ず土壌酸度を測ろう!

 土壌酸度  pH値
 酸性  ~5
 弱酸性  5.5~6
 中性  6.5~7
 アルカリ性  7.5~
消石灰を散布する前に、必ず実施していただきたいのが土壌の酸度測定です。土壌酸度を知るには専用の試薬や機械を使用する方法もありますが、大まかであれば生えている雑草で酸性に傾いているのかどうかを知ることは出来るともいわれています。次に紹介するような雑草が生えていれば、要注意で一度しっかりと土壌酸度を測定されることをお勧め致します。
○スギナ

土壌改良 酸度調整 石灰スギナは春から夏にかけて増殖する雑草で、全国に広く分布し、非常に強い生命力で防除が困難な雑草としても有名です。シダ植物の仲間でトクサ科の多年草(冬になっても枯れない雑草)です。春先に胞子茎(ツクシ)を伸ばし、胞子により繁殖を行います。次いで現れる栄養茎がスギナと呼ばれます。スギナは一度侵入すると根(地下茎)を伸ばして一面に増え、高さ30~60cm程のスギナで覆ってしまいます。

○オオバコ

土壌改良 酸度調整 石灰オオバコはオオバコ科の多年草(冬になっても枯れずに翌年また成長する雑草)で、畑、庭、道端などいたる所に自生しています。葉は根ぎわから広がり地面を這うように伸び、葉の中にくっきりした脈が走っているのも特徴です。踏みつけに大変つよく、人が踏み固めた場所に多く生えてきます。反対に土の柔らかい所では、背の高い雑草に光を遮られて成長できないため、あまり見かけません。4~6月に10cm~20cm程の細長い茎を伸ばし、花穂をつけます。種子は濡れると粘液を出し、靴やタイヤなどに貼り付いて広がっていきます。このため、人の行動範囲に多く見られます。

土壌への散布のしかた

土壌改良 酸度調整 石灰土を改良するときは、植物を植え付ける2週間前に消石灰をまき、1週間前に肥料を混ぜます。消石灰と肥料を同時に土に混ぜてしまうと、アンモニアガスを発生させるため、時間をおいて混ぜる必要があります。アンモニアガスは、pHが7.5以上の土で発生しやすく、植物の体内に入って酸素を奪って枯らしてしまうので注意してください。しつこいようですが、散布する際に消石灰を入れ過ぎるのには十分に注意してください。
使用する消石灰は園芸用の消石灰を準備してください。園芸用の消石灰には生産業者保証票が印刷されております。
消石灰を散布する手順は、
①スコップ・クワ・レーキを使って30cmほど土を掘り返す。
②通常の目安は1㎡当たり100g程の消石灰を投入しまが、使用する消石灰の袋に書いてある使用量を必ず参照してください。
分量に自信のない方は牡蠣殻のような有機石灰をお勧め致します。有機石灰は多少入れすぎてもアルカリ性に傾きすぎることなく、それ以上は土壌中に溶け出さない性質を持っているので初心者の方でも安心してお使いいただけます。

さいごに

植物によって必要な成分や好む環境が違い、それぞれに合った土壌にしてあげることはとても重要なことです。
散布し過ぎて土壌がアルカリ性になってしまったり、十分な防護をしないで散布してしまうと思わぬ事故を起こしてしまう事があります。
消石灰は、土壌を調整するには非常に便利な資材ではありますが、取り扱いに注意しながら、上手に利用して植物を元気に育ててほしいと思います。

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