園芸歳時記 令和五年七月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】文月<ふみづき>
文月は「ふづき、ふみづき」と読み、その意味・由来・語源には諸説あります。
なかでも、「文被月(ふみひろげづき、ふみひらきづき)」が略されて「文月」に転じたという説は有力です。
この文被月とは、書道の上達を祈って、短冊に歌や願い事などを書く、七夕の行事にちなんだ呼び方だといわれています。しかし奈良時代に中国から伝わった七夕は、古来日本にはなかった行事であり、疑問視する声もあります。
ほかにも、収穫が近づくにつれて稲穂が膨らむことから「穂含月(ほふみづき)」「含月(ふくむづき)」が転じて「文月(ふづき)」になったという説、稲穂の膨らみが見られる月であることから「穂見月(ほみづき)」が転じたという説もあります。
ねぷた・ねぶた
弊社所在地である、青森県の津軽地方を中心に行われる夏の行事に”ねぷた”・”ねぶた”がございます。
この行事は元来、旧暦7月7日の七夕行事の一つとして行われてきた行事でしたが、太陽暦(新暦)導入以降は8月1日から1週間程度かけて行われる夏祭りへと変容いたしました。
青森ねぶた、弘前ねぷた、五所川原立佞武多など全国的に有名で、観光客が全国各地から見物に来る一大イベントです。
この行事の起源は諸説あるのですが、七夕行事に関連する有力な説として、「眠り流し」というものがございます。
「眠り流し」とは暑い夏になると、寝不足がたたって昼間でも睡魔がさし、仕事の能率を下げたり、健康に悪影響を及ぼすのでこれを祓い清める行事として始まったという説です。
年月が経つにつれ、「眠り流し」が訛り”ねぷた”や”ねぶた”と呼ばれるようになったともいわれております。
北国の短い夏を楽しむお祭りですが、新型コロナウィルスの流行もあり、昨年に続き今年も各地の”ねぷた”・”ねぶた”祭りは相次いで中止が発表されています。
来年こそは新型コロナウィルスも落ち着き、全国各地でイベントがいつも通りに催されてほしいと願うばかりです。
【2】7月の二十四節気
小暑【7月7日】
暑さがどんどん強くなっていくという意味があり、この頃から暑さが本格的になってきますが、梅雨の終わる頃で、集中豪雨が多く発生する時季でもあります。
この日から暑中見舞いを出し始めるとされております(正式には大暑から)。
梅雨が明け、強い日差しと共に気温が一気に上がる時季のため、体調を崩しやすくなる頃でもあります。天気予報やニュースで「小暑」という言葉を耳にしたら、本格的な夏を迎える合図だと思って下さい。
暑さを乗り切るために、しっかり食べて 体力をつけておきたい頃です。
この頃は蓮の花が咲き始める頃でもあります。少し風流に蓮観賞に出掛けてみてはいかがでしょうか?
蓮の花は午後には花がしぼんでしまいますので、行かれる時は朝の早い時間が良いでしょう。
大暑【7月23日】
快晴が続き、気温が上がり続ける頃です。
最も暑い頃という意味ですが、実際の暑さのピークはもう少し後になります。
『暦便覧』には「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」と記されています。
夏の土用が大暑の数日前から始まり、大暑の間じゅう続きます。小暑と大暑の一か月間が暑中で、暑中見舞いはこの期間内に送るとされています。
【3】7月に需要が高まる園芸商品
切花延命剤
せっかく飾ったお花であれば、キレイに長持ちさせたいものですが、高温続く夏場では切花自体や活け水も劣化しがちになります。切花延命剤は切花に必要な栄養素を供給するばかりではなく、活け水の劣化も防ぐ機能をもった商品です。
あおもり藍切花延命剤
「あおもり藍の切花延命剤」は、無農薬で育てた「あおもり藍」から抽出したエキスを配合することで、菌の繁殖を抑制することが出来る切花延命剤です。天然成分で切花を長持ちさせることが出来ます。
クリザールフラワーフード
クリザールフラワーフードは、ご家庭用の切り花鮮度保持剤です。切り花の水揚げを促進し、十分な栄養を与え、切り花を美しく咲かせ、日持ちを長くします。花器の生け水を清潔に保ちます。すべての切り花にご使用いただけます。
キープフラワー
花びんの中のバクテリアの繁殖を抑え、切花に必要な栄養を補給します。
キープ・フラワーは、毎日の花びんの水替えの煩わしさを避け、花の美しさを最大限に引き出し長持ちさせることが出来ます。
殺菌殺虫剤
盛夏となるこの季節は、植物にもっとも害虫が付きやすい季節でもあります。害虫が付くと植物は病気にもなりがちです。植物の病気は予防が肝心。病気にも病気の原因となる害虫にも効果のある殺菌殺虫剤の一例です。
サンヨール液剤AL
サンヨールALは野菜と花の病気と虫にダブルの効果がある殺菌殺虫剤です。
特に気温が高くなる盛夏では、乾燥した環境に強いコナジラミが発生しやすく、サンヨール液剤ALはコナジラミにも抜群の効果があります。
カダンセーフ
食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭にもおすすめです。
カダンプラスDX
花や野菜、庭木など幅広い植物に使用でき、病害虫をしっかり駆除・予防。一年中いるアブラムシをはじめ、秋のキャベツにつくアオムシ、冬の庭木につくカイガラムシなどにも使えます。
除草剤
除草剤は面倒な雑草の刈り込み作業を軽減してくれる便利な薬品です。
畑などにも使用できるものや、ジョウロ感覚で手軽に散布できるものもあります。
クサストッパー
○このまま使えるシャワータイプの除草剤です。
○既に成長途中の雑草に有効な除草剤です。
○家のまわり・駐車場・墓地・道路などの雑草退治にご使用いただけます。
○雑草がしっとり濡れる程度に散布してください。通常2~14日で枯れ始めます。
ラウンドアップマックスロード
散布から1時間経過すれば、雨が降ってきても効果のある除草剤です。従来のラウンドアップより特に散布後の雨や朝露の他、低温にも強い仕様となっております。
アースカマイラズ 草消滅
すばやく効いて8~最長10ヵ月効果が持続します。
速効性と持続性の2つの特長を併せ持った除草剤で、広範囲にまきやすいジョウロヘッド付きの、そのまま撒ける液体除草剤です。
除草剤の形状は粒剤と液体の除草剤があります。どちらも“草を枯らす”という効果は同じですが、使い方や使うときの状況によって異なります。
今回はとくに粒剤(固形)の除草剤について詳しくご説明してみます。
除草剤については、過去にも特集した記事がございますので、そちらも併せてご参考にしていただきたいと思います。
【4】固形除草剤の特長
まだ雑草が生える前に最適
粒剤(固形)の除草剤は、そのほとんどが“土壌改善型(どじょうかいぜんがた)”と呼ばれるタイプの除草剤で、雑草の生えている土壌自体に使用する除草剤です。
このタイプの除草剤は多くの場合、粒状になっていて、生えている雑草ではなく、土壌に直接散布します。散布された除草剤は土や雨の水分で溶けて土壌に浸透し、浸透後は土壌の中では長く薬剤効果がとどまります。この土壌に薬剤効果がとどまることにより、新しい根が成長したり、種が芽を出したりするのを防ぎます。
どちらかというと、“今生えている雑草”というよりも、“これから雑草が生えそうな場所”に使用するタイプの除草剤です。
液体の除草剤に比べ、効果が出てくるまでに時間がかかる物が多いですが、薬剤が土壌に残留する期間が長いので、液体除草剤よりも除草効果期間は長めです。
駐車場や家の周りには土壌改良型
駐車場や家の周りで雑草が生えると困る場所には、土壌改良型除草剤を選んだ方が持続するのでお勧めいたします。
除草剤を散布するタイミングとしては、春先のまだ雑草が生えてくる前と、晩秋の雑草が枯れ始める頃の年2回が最も効果が大きいとされています。
「これから雑草が枯れ始める晩秋になぜ除草剤を散布するのか?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、雑草は枯れ始める頃に種を広めるので、その種に対して除草剤を散布することにより抑制できるという訳です。
樹木・花壇まわりはご注意を!
駐車場や家の周りの樹木や花壇がある場合には、除草剤の散布にご注意ください。
土壌改良型除草剤は、有効成分が土壌に浸透していくので、樹木や花壇に除草剤を散布しなくても、除草剤の成分が浸透してしまう場合があります。
この場合、せっかく育てた樹木や花壇の花まで枯らしてしまうことにもなりかねませんので、注意して使用しなくてはいけません。
具体的にどれくらい離れた場所であれば散布しても良いかなどは、取扱説明書に記載されておりますので、必ず読んでから使用しましょう。
適用表は必ず読みましょう
植物に使用できる除草剤には必ず適用表が印刷されています。この適用表の中身によって大きく3つに分類することが出来ます。
分類は以下のとおりです。
〇農耕地用除草剤(登録除草剤)
植物を育てている場所にも使用できる除草剤です。
農薬としても農林水産省に届出を出しています。使用できる植物は適用表に書いてある植物に限定されるので、よく適用表を読みましょう。
〇非農耕地用除草剤(登録除草剤)
農作物を育てていない場所でしか使用できない除草剤です。
こちらも農薬として農林水産省に届出は出しておりますので、樹木のある駐車場・道路・運動場・宅地などに使用することが出来ます。
〇無登録除草剤
農林水産省に届出されていない除草剤です。
前出2つの除草剤とは違い、商品のパッケージに登録番号が記載されていないのが一番の見分けポイントです。
農薬ではないので、道路や駐車場などで使用する場合でも、付近に樹木等があった場合には使用出来ません。使用範囲が非常に限られる除草剤です。
雨天と相性が良い粒状除草剤
前にご紹介した液体除草剤は雨天時に散布すると、効果が落ちるとご紹介いたしましたが、粒状タイプの除草剤はその逆で、地面の水分によってゆっくりと溶け、土にしみ込んでいくことで効果を発揮します。そのため雨上がりで地面が十分に湿っている状態のほうが、より早く効果が出る傾向にあります。粒状除草剤のなかには“雨上がりに散布するよう指示されているもの”もあるほどです。
一方で、強風時の散布はお控え願います。何度も記載しておりますが、土壌改良型除草剤は水分により除草成分が土壌に浸透していきます。除草成分が溶け出さないうちに、強風などに煽られて飛んでいくと、意図しない場所に除草剤が飛ばされて、被害がでてしまう事が考えられます。
粒剤・液体ともに、強風時の除草剤散布はお控え願います。
必ず防護してから散布を
除草剤を散布する際には、目や皮膚に付着しないように長袖・長ズボン・手袋・マスク・ゴーグルを必ず着用してください。
長袖・長ズボン・手袋は除草剤が肌に付着するのを避けるほかに、草むらで作業する際には虫刺され予防にもなります。また、液体除草剤を散布する場合は除草剤の飛沫を吸い込んでしまうおそれがあるため、口や鼻を保護するマスク・目の粘膜を保護するゴーグルがあるとより安心です。
液体除草剤は希釈して(薄めて)使用する場合が多いですが、散布は専用の噴霧器などを使用することをお勧めいたします。
もし噴霧器をお持ちでない場合はジョウロなどでも代用できますが、使用後のジョウロは洗剤できれいに洗浄してください。万一、除草剤の成分が残っていた場合、知らずにそのジョウロで花や野菜に水やりをしてしまうと枯らしてしまうおそれがあります。
除草剤は便利なもの
また、小さなお子様やペットのいるご家庭では厳重な注意のうえで除草剤を散布するようにし、散布した場所に立ち入りできないようにするなど工夫をしましょう。
体内に取り込んだ除草剤は、大人にとっては害とならない量であっても、犬や小さなお子様の場合は身体が小さいため中毒症状を起こすことがあります。除草剤を摂取してしまうことで起こる中毒を「除草剤中毒」といい、症状が重い場合命にかかわることになるかもしれません。
除草剤は用法などをしっかりと守って使用すれば、かなり有効な雑草対策となります。
商品の説明書をよくお読みになり、しっかりとした対策をすることで安全にご利用いただけます。
【5】7月に農作業の始まる野菜
7月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
蕪 | 二年生 | 20℃前後 | 4月~9月 | – | 10月~11月 |
南瓜 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~6月 | 4月~7月 | 7月~12月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
胡瓜 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
蔓紫 | 一年生 | 20~30℃ | 4月~7月 | – | 6月~10月 |
唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
とうもろこし | 一年生 | 20~30℃ | 3月~7月 | – | 7月~8月 |
トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
韮 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~4月 | 6月~7月 | 3月~5月 |
人参 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | – | 10月~12月 |
白菜 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | 4月~5月 | 11月~2月 |
ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 6月~9月 | 7月~10月 | 11月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
水菜 | 二年生 | 15~25℃ | 4月~9月 | – | 12月~3月 |
三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
モロヘイヤ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~6月 | 5月~7月 | 7月~8月 |
ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 4月~7月 | – | 4月~6月 |
レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
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