園芸歳時記 令和五年六月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】水無月<みなづき>
水無月は他の和風月名同様、その意味・由来・語源は諸説あるのですが、まったく逆の解釈が混在しているのは面白いところです。
ひとつは、水無月の「無(な)」が「の」にあたる連体助詞だという説。
水が「無い」わけではなく「水の月」であることを意味する、という説です。梅雨明けにあたる陰暦6月が、田に水を引く時期であったことから「水無月(みなづき)」と呼ばれた、という解釈です。
これに対して、水が無いから「水無月」だとする説もあります。田に水を引くため、それ以外の水が無いという説や、暑さで水が干上がってしまうから水が無い「水無月」だという説などです。
いずれにしても、農作・田植えに関する説が多いようで、陰暦5月である「皐月」とも通じるところがあります。
梅雨
漢字表記「梅雨」の語源としては、この時期は梅の実が熟す頃であることからという説や、この時期は湿度が高くカビが生えやすいことから「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、これが同じ音の「梅雨」に転じたという説、この時期は「毎」日のように雨が降るから「梅」という字が当てられたという説があります。
普段の倍、雨が降るから「倍雨」というのはこじつけ(民間語源)だそうで、このほかにも「梅霖(ばいりん)」、旧暦で5月頃であることに由来する「五月雨(さみだれ)」、麦の実る頃であることに由来する「麦雨(ばくう)」などの別名があります。
なお、「五月雨」の語が転じて、梅雨時の雨のように、物事が長くだらだらと続くことを「五月雨式」と言うようになりました。また梅雨の晴れ間のことを「五月晴れ(さつきばれ)」と言いますが、この言葉は最近では「ごがつばれ」とも読んで新暦5月初旬のよく晴れた天候を指すことの方が多くなっています。
気象庁では5月の晴れのことを「さつき晴れ」と呼び、梅雨時の晴れ間のことを「梅雨の合間の晴れ」と呼ぶように取り決めております。
地方名には「ながし」(鹿児島県奄美群島)、「なーみっさ」(喜界島での別名)があり、沖縄では梅雨が小満から芒種にかけての時期に当たるので「小満芒種(スーマンボースー、しょうまんぼうしゅ)」や「芒種雨(ボースーアミ、ぼうしゅあめ)」と言ったりするそうです。
【2】6月の二十四節気
芒種【6月6日】
芒(のぎ 、イネ科植物の果実を包む穎(えい)すなわち稲でいう籾殻にあるとげのような突起)を持った植物の種をまくころです。
『暦便覧』には「芒(のぎ)ある穀類、稼種する時なり」と記されています。実際の種まきはこれよりも早い時期に行われます。
梅の実が青から黄色に変わり、百舌が鳴き始めます。かまきりや蛍が現れ始める頃でもあります。次第に梅雨めいて、五月雨(さみだれ)の季節に入ります。
西日本では梅雨入りのころで、沖縄県では小満から芒種が梅雨の時期に当たります。
夏至【6月21日】
一年で、昼間が最も長く、夜が最も短い日。
冬至と比較すると、昼間の時間差は4時間以上もあります。暦の上では夏季の真ん中にあたりますが、実際には梅雨の真っ盛りで、農家では田植えに繁忙を極める頃。暑さのピークは1カ月ほど先になります。
冬至にはかぼちゃを食べる風習がありますが、夏至は地方によって様々で、関西ではこの日にタコを食べる習慣があり、関東地方では焼き餅をお供えたりします。
沖縄では、この頃に吹く季節風を「夏至南風」といいます。この風が吹くと、梅雨が明けて本格的な夏が訪れます。
【3】6月に需要の高まる園芸商品
殺菌殺虫剤
梅雨時期になると気温・湿度ともに高くなり、どうしても植物は病気にかかりやすくなります。植物の病気は予防が肝心。病気にも病気の原因となる害虫にも効果のある殺菌殺虫剤の一例です。
サンヨール液剤AL
サンヨールALは野菜と花の病気と虫にダブルの効果がある殺菌殺虫剤です。
特に病気では梅雨時期に発生しやすい”うどんこ病”の予防にお勧めいたします。
カダンセーフ
食品成分由来の膜が病害虫を包んで退治。害虫は呼吸ができずに窒息死し、病原菌も栄養を得られず死滅します。屋内での使用や、お子様・ペットのいるご家庭にもおすすめです。
カダンプラスDX
花や野菜、庭木など幅広い植物に使用でき、病害虫をしっかり駆除・予防。一年中いるアブラムシをはじめ、秋のキャベツにつくアオムシ、冬の庭木につくカイガラムシなどにも使えます。
除草剤
梅雨時期は雑草の勢いが活発になる時期でもあります。
除草剤は面倒な雑草の刈り込み作業を軽減してくれる便利な薬品です。
畑などにも使用できるものや、ジョウロ感覚で手軽に散布できるものもあります。
クサストッパー
○このまま使えるシャワータイプの除草剤です。
○既に成長途中の雑草に有効な除草剤です。
○家のまわり・駐車場・墓地・道路などの雑草退治にご使用いただけます。
○雑草がしっとり濡れる程度に散布してください。通常2~14日で枯れ始めます。
ラウンドアップマックスロード
散布から1時間経過すれば、雨が降ってきても効果のある除草剤です。従来のラウンドアップより特に散布後の雨や朝露の他、低温にも強い仕様となっております。
ネコソギエースV粒剤
粒のままパラパラとまくタイプの除草剤です。
天候や土壌の条件、雑草の種類により異なりますが、1~2週間で枯れ始め30日前後でほとんどからします。
アースカマイラズ 草消滅
すばやく効いて8~最長10ヵ月効果が持続します。
速効性と持続性の2つの特長を併せ持った除草剤で、広範囲にまきやすいジョウロヘッド付きの、そのまま撒ける液体除草剤です。
殺虫剤
6月頃は気温もどんどん上昇し、庭や家の周りで不快害虫の活動も活発化します。ナメクジやダンゴムシ、地中に巣を作るアリにいたっては、不快であるだけでなく、時には家屋に害を与えます。
家のまわりに撒くタイプの殺虫剤には次のようの商品があります。
アリカダン粉剤
すばやい効きめの<殺虫粉>を、水をはじくシリコーンオイルで特殊コーティングしており、雨に強く、すばやい殺虫効果を発揮すると同時に侵入防止効果が約4ヵ月持続します。
除虫菊由来の天然殺虫成分「ピレトリン」が、しつこいアリをすばやく殺虫します。
お庭の虫コロリ
害虫の食性に合わせ4種の顆粒を混合し、ナメクジやムカデ・アリを同時に対策できます。お庭に出るさまざまな害虫に効く顆粒タイプの駆除エサで、広範囲の害虫を撃滅します。どこにいるか分からない害虫を駆除するのにおすすめです。
活力剤
気温が上昇するにつれ、植物も人間と同じように疲れが生じてきます。
特に成長期の植物には、肥料の他にも活力剤を与えてあげると、色つや・実つき・花つきを良くしてくれます。
HB101
野菜・花・果実がきれいにみずみずしく、美味しく育つ!無農薬栽培・安心農園の決定品です。水で1000~10万倍にうすめて、1週間に1回散布します。
活力剤は1年中どの時期でも、植物に元気がない時や、さらに丈夫に育てたい時に使える栄養剤です。
【4】液体除草剤について
除草剤の形状は液体と粒剤の除草剤があります。どちらも“草を枯らす”という効果は同じですが、使い方や使うときの状況によって異なります。特に液体除草剤について詳しくご説明してみます。
伸びた雑草に最適
液体除草剤は、そのほとんどが“茎葉処理型(けいようしょりがた)”と呼ばれるタイプの除草剤で、特長として既に生えている茎や葉に直接散布することにより、除草剤の効果が表れるタイプです。
雑草に直接散布するので、除草効果が表れるのが比較的早く、雑草を枯らし終えると微生物や日光などで分解されやすいので、除草剤を散布した後の土壌でも植物を栽培出来る場合 (個別の除草剤により違いはあります)もあります。
一方で土壌への作用は限定的ですので、除草効果が粒剤タイプのものと比べて短いという欠点もあります。
除草効果が長いものを探すのであれば、粒剤タイプの除草剤がお勧めで、こちらは“土壌改善型(どじょうかいぜんがた)”除草剤と呼ばれるものが多いです。
畑や花壇に使用できる除草剤もある
家庭菜園や花壇などのように、枯らしたい草にのみに作用させるには茎葉処理型に多い液体除草剤が使いやすいです。加えてすでに雑草が生い茂ってしまっている場合など、今すぐ雑草を取り除きたい場合にも即効性のある液体除草剤が向いています。
一方で、土壌改善型(粒剤)の除草剤は雑草に限らずほとんどの植物の生育を抑え、効果の持続が長いことから、駐車場や空き地などに多く使用されます。
短期的に草を枯らしたいか、長期的に草の生育を止めたいか、目的によって除草剤を使い分けましょう。
適用表は必ず読みましょう
植物に使用できる除草剤には必ず適用表が印刷されています。この適用表の中身によって大きく3つに分類することが出来ます。
分類は以下のとおりです。
〇農耕地用除草剤(登録除草剤)
植物を育てている場所にも使用できる除草剤です。
農薬としても農林水産省に届出を出しています。使用できる植物は適用表に書いてある植物に限定されるので、よく適用表を読みましょう。
〇非農耕地用除草剤(登録除草剤)
農作物を育てていない場所でしか使用できない除草剤です。
こちらも農薬として農林水産省に届出は出しておりますので、樹木のある駐車場・道路・運動場・宅地などに使用することが出来ます。
〇無登録除草剤
農林水産省に届出されていない除草剤です。
前出2つの除草剤とは違い、商品のパッケージに登録番号が記載されていないのが一番の見分けポイントです。
農薬ではないので、道路や駐車場などで使用する場合でも、付近に樹木等があった場合には使用出来ません。使用範囲が非常に限られる除草剤です。
雨天では効果半減以下
液体除草剤の場合、雨上が止んだ直後などは散布に適していません。雨が降った直後は雑草の茎や葉に水滴がついているため、除草剤をまいても水滴と一緒に流れ落ちてしまうためです。また茎や葉が水分を多く含んでいると除草剤の浸透がよくないので、ある程度草全体が乾燥しているときに除草剤を散布した方が効果は表れます。
同様の理由で、朝露や夜露で除草剤が流れ落ちやすい夜間や明け方の散布も効果が下がります。
必ず防護してから散布を
除草剤を散布する際には、目や皮膚に付着しないように長袖・長ズボン・手袋・マスク・ゴーグルを必ず着用してください。
長袖・長ズボン・手袋は除草剤が肌に付着するのを避けるほかに、草むらで作業する際には虫刺され予防にもなります。また、液体除草剤を散布する場合は除草剤の飛沫を吸い込んでしまうおそれがあるため、口や鼻を保護するマスク・目の粘膜を保護するゴーグルがあるとより安心です。
液体除草剤は希釈して(薄めて)使用する場合が多いですが、散布は専用の噴霧器などを使用することをお勧めいたします。
もし噴霧器をお持ちでない場合はジョウロなどでも代用できますが、使用後のジョウロは洗剤できれいに洗浄してください。万一、除草剤の成分が残っていた場合、知らずにそのジョウロで花や野菜に水やりをしてしまうと枯らしてしまうおそれがあります。
除草剤の取扱いには注意を!
小さなお子様やペットのいるご家庭では厳重な注意のうえで除草剤を散布するようにしてください。散布した場所に立ち入ることが出来ないようにするなど、工夫をしましょう。
体内に取り込んだ除草剤は、大人にとっては害とならない量であっても、小さなお子様やペットなどの場合は身体が小さいため中毒症状を起こすことがあります。
除草剤を摂取してしまうことで起こる中毒を「除草剤中毒」といい、症状が重い場合は、命に係ることにもなりかねません。
除草剤は用法などをしっかりと守って使用すれば、かなり有効な雑草対策となります。
除草剤は、商品の説明書をよくお読みになり、しっかりとした対策をすることで安全にご利用いただけます。
【5】6月に農作業の始まる野菜
6月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
いんげん | 一年生 | 20℃前後 | 4月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
枝豆 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | – | 6月~8月 |
オクラ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~9月 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
蕪 | 二年生 | 20℃前後 | 4月~9月 | – | 10月~11月 |
南瓜 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~6月 | 4月~7月 | 7月~12月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
胡瓜 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
薩摩芋 | 多年生 | 25~30℃ | – | 5月~6月 | 9月~12月 |
さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
紫蘇 | 一年生 | 20~23℃ | 4月~6月 | 5月 | 6月~9月 |
西瓜 | 一年生 | 25℃前後 | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ズッキーニ | 一年生 | 20℃前後 | 2月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
セロリ | 一年生 | 16~21℃ | 5月~6月 | – | 12月~4月 |
ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
蔓紫 | 一年生 | 20~30℃ | 4月~7月 | – | 6月~10月 |
唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
冬瓜 | 一年生 | 25~30℃ | – | 4月~6月 | 7月~10月 |
とうもろこし | 一年生 | 20~30℃ | 3月~7月 | – | 7月~8月 |
トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
なす | 一年生 | 20~30℃ | 2月~3月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
苦瓜 | 一年生 | 20~30℃ | 3月~6月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
韮 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~4月 | 6月~7月 | 3月~5月 |
人参 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | – | 10月~12月 |
白菜 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | 4月~5月 | 11月~2月 |
パプリカ | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ピーマン | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 6月~9月 | 7月~10月 | 11月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
水菜 | 二年生 | 15~25℃ | 4月~9月 | – | 12月~3月 |
三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
メロン | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 5月~7月 |
モロヘイヤ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~6月 | 5月~7月 | 7月~8月 |
落花生 | 一年生 | 15~25℃ | 5月~6月 | – | 9月~10月 |
ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 4月~7月 | – | 4月~6月 |
レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
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