園芸歳時記 令和六年十月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】神無月<かんなづき>
神無月の語源ははっきりしないということです。有力な説としては、神無月の「無・な」が「の」にあたる連体助詞「な」で「神の月」というものがあるそうです。
また、神様が不在【出雲大社に神様が集まって会議を開くので】という説は中世以降に出雲大社の御師(おし・神社などで参拝や宿泊の世話をしていた人)が広めたとされるなど、定かではないということです。現在でも出雲地方の10月は「神在月」と呼ばれていますが、これも中世以降に出てきた説だそうです。
話は戻りますが、「神の月」とするのであれば、このような説もあるようです。
『春に山から降りて来られた神様は、田んぼの神様となり、秋の収穫を見届けて山に帰っていく』ので神様をお祀りしてお見送りをする月、すなわち「神の月」という説だそうです。
秋は果物の季節
秋は多くの果物が収穫を迎える季節です。
ぶどう・りんご・梨・柿などの果物は9月~11月にかけて各地で収穫され、スーパーや八百屋さんなどの店頭に並びます。
弊社の所在地である青森県の津軽地方でも、りんごの収穫が最盛期を迎えます。
農道の両側を、真っ赤な実をつけたりんごの木が埋め尽くす光景は圧巻です。近くの市場では、収穫されたりんごが集められ、市場の前を車で通っただけでも、りんごの良い香りがしてくるほどです。
因みにこのりんごの市場では、2023年産りんごの止市(とめいち・そのシーズンの最後の競り)は2024年4月25日で、2024年産りんごの初競りは2024年8月2日から始まっております。りんごの流通が9か月も続くというのは驚きですよね。
長くりんごの出荷が続く理由として、青森県内で栽培されているりんごの品種は約50種類で、その品種ごとに出荷される時期が異なるので9か月も続くそうです。もっとも多く収穫される品種は「ふじ」という品種で、青森県内の全収穫量のうち50%以上を占めております。
【2】10月の二十四節気
寒露【10月8日】
夜が長くなり、露が冷たく感じられる頃です。朝晩の冷え込みはきつくなりますが、空気が澄んだ秋晴れの過ごしやすい日が多くなります。夜空を見上げると、より美しく綺麗に輝く月が見られる頃です。
菊野花が咲くのもこの頃で、夜にはキリギリスも鳴いている時期です。
霜降【10月23日】
霜降(そうこう)とは、朝晩の冷え込みがさらに増し、北国や山里では霜が降りはじめるころです。露が霜に代わってくるので、だんだん冬が近づいていることが感じられます。
変わりやすい天気を「女心と秋の空」といいますが、この頃の天気は変わりやすいとされています。また、紅葉や蔦が色づいてくる頃でもあります。
【3】10月に需要が高まる園芸商品
収穫資材
10月は”実りの秋”真っ只中。
末吉商店は各種収穫資材を取り揃えて、収穫のサポートをいたします。
りんご収穫資材
青森県の津軽地方は全国でも有数のりんご生産量を誇ります。
弊社は、あらゆるりんごの生産資材を取り扱っており、もちろんダンボールやモールド、ネットなどプロの農家様から家庭の贈答用にも使用できる商材を取り揃えております。
お米収穫資材
収穫したお米を贈答用に化粧するダンボールや紙袋などを各種取り揃えております。この他にもお米柄のクラフトテープや品種ごとのラミネート袋なども取り揃えております。
切花延命剤
10月頃は色々な種類の菊の花が咲く頃です。
最近では和菊の他にもマムと呼ばれる洋菊を栽培する方も増えており、バラエティ豊かな品種が存在します。
菊はとても日持ちする花ですが、まだまだ日中は気温が上がるため、切花延命剤をご使用することをお勧めいたします。
あおもり藍切花延命剤
「あおもり藍の切花延命剤」は、無農薬で育てた「あおもり藍」から抽出したエキスを配合することで、菌の繁殖を抑制することが出来る切花延命剤です。天然成分で切花を長持ちさせるだけでなく、お花のつぼみも綺麗に開花させることが出来ます。
微生物資材(土壌改良剤)
10月頃になると、畑や家庭菜園の収穫も終盤となります。
雪が降る前に圃場の手入れをすることで、翌春から始める野菜などの収量を上げることが期待できます。
ビートルパワーファーマー
土壌において肥料や有機物を分解しながら植物の吸収できる栄養(無機物)となるには微生物は必要不可欠であり微生物の働きでその後の生育は大きく左右されます。
微生物は分解しにくい有機物(魚粕、種粕等)ほど分解工程で活性化して微生物のチカラを発揮させながら土壌中の有用物質となります。また微生物が多くなると土壌は柔らかくなり最終的には地力向上の手段の一つとして有機物を分解した腐植を増加し保肥力を高めて土壌は安定していきます。
・菌種(10 種類)菌数が豊富で好気性、嫌気性の菌を共棲。
・有機物の分解を速やかに行い肥料の吸収を助ける。
・微生物が活動した後の代謝物が植物へ好影響。
・土壌の生物性が豊かになり柔らかい土となる。
・原料:微生物、水、魚エキス
除草剤
秋は収穫の季節ですが、除草の季節でもあります。収穫後から冬に入る前に雑草を根こそぎ枯らしておくと、翌春からの雑草が生えるタイミングを遅らせたり、増え方を抑制することが出来るといわれております。
クサストッパー
○このまま使えるシャワータイプの除草剤です。
○既に成長途中の雑草に有効な除草剤です。
○家のまわり・駐車場・墓地・道路などの雑草退治にご使用いただけます。
○雑草がしっとり濡れる程度に散布してください。通常2~14日で枯れ始めます。
ラウンドアップマックスロード
散布から1時間経過すれば、雨が降ってきても効果のある除草剤です。従来のラウンドアップより特に散布後の雨や朝露の他、低温にも強い仕様となっております。
カダン除草王オールキラー
・ガンコな雑草も一掃!
根まで枯らして6ヵ月間生やさない!雑草発生前にまけば予防にも。家まわり、駐車場、道路、空き地、墓地などに。最大400㎡
・6ヶ月間※効果が持続!
薬剤が土壌近くに保持され、種や茎から新たに出現した芽も枯らします。優れた持続効果で長期間新たな雑草を生やしません。
※メヒシバ・生育初期散布(40g)の場合
※使用環境によって十分な効果が得られないことがあります。
ネズミ対策用品
収穫物が倉庫に入る頃はネズミの繁殖期とも重なり、この時期は一年の中で最もネズミの活動が活発な時期でもあります。
弊社は業務用から家庭用まで、あらゆるネズミ対策商材を取り揃えております。
耐水チュークリン業務用
安心の日本製。プロの駆除業者も使っている耐水台紙で、水濡れに強く使用場所を選びません。
・衛生業者が実際に業務で使用している、耐水性の台紙と波型粘着剤を使用したシートです。
・殺鼠剤のような毒性物質を含まないので、安心してお使いいただけます。
ネズレスプロ置くだけ
・ネズミの嫌がる強力な臭いにより、ネズミの嗅覚を麻痺させて追い出す臭気タイプの忌避剤です。
・本品を常時設置することにより、ネズミに警戒心を与え近寄らなくさせます。
・分包のまま置くだけなので、取扱いが簡単です。
・臭いは約1~2ヶ月持続。成分には天然抽出物を使用しています。
秋植え球根
夏が過ぎ、朝晩が過ごしやすい頃になると、そろそろ秋植え球根を植栽する時期です。秋植え球根は種類が豊富で育てやすく、華やかな花が楽しめるため、あまり球根を育てたことがない方にも人気の植物です。
球根の主な原産地のサイクルに合わせ、国内では秋に植えて冬に栄養を蓄え、春の開花が終わったら夏に休眠させるタイプの球根を「秋植え球根」と呼びます。日本の夏が苦手な品種は球根が腐敗しやすいため、花が咲き終わった後に掘り上げて風通しのよい場所で保管してください。暑さに強い品種は、数年間植えたままでも管理できます。
冬囲い資材
気温も日に日に下がり、冬支度も考え始める頃となります。
北海道や北東北の山に近い場所であったりすると、10月中旬から下旬にかけて初雪が降ったりもします。
すぐに積もるということは無いとは思いますが、雪が降ってからでは作業するにも手が冷えたり思うように作業が出来なくなることもあります。
冬囲いなど、庭木の手入れは早めに準備するのが良いでしょう。
荒縄
荒縄は稲わらを編んで作られる天然素材のロープです。長所はとにかく見た目が綺麗であるのと、植物を傷めにくいという点です。
販売されている単位は長さでは無く、重さで表記されていることが多いので、縄の太さが細いほど同じ重量だと長くなるのに対して、太ければ同じ重量でも短くなります。
殆どの場合、玉巻きで販売されております。
防風・防雪ネット
防風・防雪ネットは、冬囲い用のポリエチレンで作られたネットです。
4㎜目のネットで、最大の長所は安価であり腐食しないので長く使用することが出来ます。
“こも”や麻布などに比べると非常に軽いので、初心者の方でも作業がはかどります。ハサミ等でカットするにも切りやすく“ほつれにくい”のも助かります。
【4】残渣処理に微生物資材を活用しよう
残渣処理とは?
家庭園芸や農業で、畑で野菜などの収穫後に圃場に残った茎や葉、つる、根などのことを残渣(ざんさ)と言います。
残渣はそのままにしておくと次の栽培に悪影響を及ぼすため、収穫後は適切な処理をすることが大切です。
少量の残渣であれば、家庭ゴミとして処理してしまうのも一つの方法ですが、この残渣は一手間かけることで、次の栽培にとても有益な堆肥とすることができます。
今回は微生物資材を利用した残渣処理についてご紹介したいと思います。
残渣処理はなぜ必要か?
残渣として圃場に残る野菜の葉や茎は、柔らかくて病害虫や病原菌に侵されやすい傾向にあります。
残渣を放置しておくと、残渣ついてしまった病害虫や病原菌が土壌中に移ってしまい、次にその圃場で育てた野菜などに悪影響を与えてしまうおそれがあります。この現象を土壌病害または、土壌伝染病害といいます。
例を挙げると、ナスやトマト、ピーマン、ジャガイモなどに多く発生する「青枯病(あおがれびょう)」は、土中の細菌を根などから吸い上げてしまうことにより、水分や養分が通る導管が壊死してしまい、青いまま萎れて枯れてしまう病気です。
「つる割れ病」はキュウリやゴーヤ、スイカなどのウリ科の植物がかかりやすい病気で、土中の糸状菌(カビ)が根から侵入し、日中に葉が萎れて、夜になると元気になることを繰り返しながら広がってしまいます。最後には葉が黄色に変色して枯れてしまいます。
また、イチゴやカリフラワー、キャベツ、小松菜、大根などのアブラナ科の野菜では「萎黄病(いおうびょう)」にかかりやすく、この病気も細菌または、糸状菌が原因となる病気で、やはり根から侵食され、下の葉から黄色に変色していき、葉や茎がよじれるなどの症状が発生します。
病原菌の種類には様々なものがあり、そのなかには複数年にまたがって生息してしまう病原菌もあります。
このような病原菌の発生を未然に防ぐためには、しっかりと圃場の残渣処理をしないといけないのです。
どうやって残渣を処理するのか?
残渣の処理で最も気を付けなければいけないのは、圃場に残渣を残さないということです。前述したとおり、少量であれば家庭ゴミとして処分する方法もありますし、大量の残渣であれば焼却してしまうという方法もあります。
他の方法として、残渣を堆肥に変えてしまう方法もあります。もみ殻や稲わら、落ち葉などの有機物に、米ぬかや菜種油かす、鶏ふん、硫安などの窒素肥料を混ぜ合わせて堆肥にする方法です。
まず、残渣や有機物の上に土と窒素肥料を撒いて、足で踏み固めながら何層も積み上げていき、水をたっぷりかけた後に、農ポリなどで覆ってしまいます。そうすると1週間~10日ほどで発酵が始まり、温度が上昇していきます。
温度が60℃~80℃程度まで上昇すると残渣に残っていた病害虫が死滅し、その後温度が下がると堆肥が完成されます。
上手に堆肥を作るポイントとして、堆肥作成には酸素が必要となるので、1~2週間に1度堆肥をかき混ぜ、空気を入れてあげることや、土中での分解や、発酵を早めるのに、細かく残渣を裁断してしまうのも有効な方法です。
微生物資材を利用した残渣処理
残渣を堆肥化するのには前述したように手間がかかる工程となります。
最近では手間を軽減するのに、微生物資材を利用した方法もあります。
弊社でも販売しているビートルパワーファーマーを例に、微生物資材を利用した残渣処理をご紹介いたします。
微生物資材を利用することにより、残渣を使った堆肥作りにおいて、堆肥+土壌微生物の活性化で圃場の地力を高めるメリットがあります。
ビートルパワーファーマーを使用した残渣処理の手順
1.圃場の残渣に、微生物の栄養分となる米ぬか、油かす、鶏ふんなどを撒く。
2.ビートルパワーファーマーを原液または、10倍程度に希釈して散布する。
3.耕運機などで撹拌し、残渣とビートルパワーファーマーを圃場にすきこむ。
4.休閑期(土地を肥やすために、一定期間耕作をやめている期間)に、活性化した微生物が、圃場にすきこまれた残渣を分解します。
5.ビートルパワーファーマーに含まれる微生物は、作物が育つのに有効な働きをする微生物ですので、圃場の地力を高めることができます。
残渣を資源化して、地力アップを!
残渣をゴミとして処分するよりは、資源化(≒堆肥化)して圃場の地力を高めるのが、農作物を育てるのに非常に都合が良い事だと筆者は考えます。
残渣を有効活用して、次の畑づくりに活用してはいかがでしょうか?
【5】10月に農作業の始まる野菜
10月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
からしな | 二年生 | 15~20℃ | 8月~11月 | – | 11月~4月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
クレソン | 多年生 | 15~18℃ | 9月~11月 | – | 3月~6月 |
こごみ | 多年生 | 22℃前後 | 10月~11月 | – | 4月~5月 |
牛蒡 | 多年生 | 20~25℃ | 9月~11月 | – | 11月~2月 |
小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
さやえんどう | 一年生 | 10~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
春菊 | 一年生 | 15~20℃ | 8月~10月 | – | 11月~3月 |
芹 | 多年生 | 15~20℃ | – | 9月~11月 | 12月~4月 |
玉葱 | 多年生 | 15~20℃ | 8月~10月 | 10月~12月 | 3月~4月 |
ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
菜の花 | 二年生 | 15~20℃ | 9月~12月 | – | 1月~3月 |
韮 | 多年生 | 20~25℃ | 9月~10月 | 3月~4月 | 3月~5月 |
にんにく | 多年生 | 15~20℃ | – | 9月~10月 | 5月~8月 |
パセリ | 二年生 | 15~20℃ | 9月~10月 | – | 3月~4月 |
ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 6月~9月 | 7月~10月 | 11月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 9月~10月 | – | 10月~12月 |
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