園芸歳時記 令和六年十一月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】霜月<しもつき>
霜月は「しもつき」と読み、その意味や由来、語源にはいくつかの説が有るとされます。
もっとも有力だとされている説は「霜降り月、霜降月(しもふりつき)が省略されて「霜月(しもつき)」に転じたというものです。
もともと霜月は陰暦で使用されていた月名で、現在の太陽暦(新暦)では12月にあたります。この頃になりますと、そろそろ里にも霜の降りる季節ですね。
ほかにも、満ちた数字である十を上月とし、それに対して下月(しもつき)になったという説、その年の収穫を感謝する意味を持つ「食物月(をしものつき)」が省略されたという説があるようです。
実りへの感謝
10月から11月にかけて、市町村や集落ごとで今年の収穫を祝う「収穫祭」、「産業フェア」、「農産まつり」などのイベント名で様々な催し物があります。
欧米などでも感謝祭の当日は祝日となり、国を挙げてのお祝いとなります。ところが日本では、祝日として収穫祭や感謝祭などは無いと思いませんか?
実は日本においては11月23日の「勤労感謝の日」がこれにあたります。農業や漁業だけではなく、「勤労をたっとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」を趣旨としている祝日なので、単に収穫祭とは言えないかもしれませんが、この祝日のルーツは、宮中行事である「新嘗祭(にいなめさい)」であり、天皇陛下が、その年に収穫された新穀などを神に供えて感謝の報告をする儀式です。
皆さんも、11月23日の「勤労感謝の日」には、家族や友人と互いに感謝しあって団らんや会食などでお祝いするのも良いのではないでしょうか?
【2】11月の二十四節気
立冬【11月7日】
立冬(りっとう)とは、冬がはじまる頃です。木枯らしが吹き、木々の葉が落ち、はやいところでは初雪の知らせが聞こえてきます。真冬の寒さに備えて、冬の準備を始める時期でもあります。
冬の冷気によって大地が凍り始め、朝は霜が降りるようになり、夜はいっそう冷え込んでくる季節です。
小雪【11月22日】
小雪(しょうせつ)とは、雪が降りはじめる頃です。まだ積もるほどには降らないことから、小雪といわれたようです。冷たい北風が木々の葉を落とし、地面いっぱいに広がる落ち葉を見ると晩秋から冬に移っていることを肌で感じる季節でもあります。
【3】11月に需要が高まる園芸商品
収穫・贈答資材
11月はまだまだ果菜類の収穫期です。
また、収穫したお米などを、家族や親せきなどに送るのもこの時期です。
末吉商店は各種収穫・贈答資材を取り揃えて、収穫のサポートをいたします。
りんご収穫資材
青森県の津軽地方は全国でも有数のりんご生産量を誇ります。
弊社は、あらゆるりんごの生産資材を取り扱っており、もちろんダンボールやモールド、ネットなどプロの農家様から家庭の贈答用にも使用できる商材を取り揃えております。
お米収穫資材
収穫したお米を贈答用に化粧するダンボールや紙袋などを各種取り揃えております。この他にもお米柄のクラフトテープや品種ごとのラミネート袋なども取り揃えております。
ネズミ対策用品
収穫物が倉庫に入る頃はネズミの繁殖期とも重なり、この時期は一年の中で最もネズミの活動が活発な時期でもあります。
弊社は業務用から家庭用まで、あらゆるネズミ対策商材を取り揃えております。
水につよいチュークリン業務用
安心の日本製。プロの駆除業者も使っている耐水台紙で、水濡れに強く使用場所を選びません。
・衛生業者が実際に業務で使用している、耐水性の台紙と波型粘着剤を使用したシートです。
・殺鼠剤のような毒性物質を含まないので、安心してお使いいただけます。
ネズレスプロ置くだけ
・ネズミの嫌がる強力な臭いにより、ネズミの嗅覚を麻痺させて追い出す臭気タイプの忌避剤です。
・本品を常時設置することにより、ネズミに警戒心を与え近寄らなくさせます。
・分包のまま置くだけなので、取扱いが簡単です。
・臭いは約1~2ヶ月持続。成分には天然抽出物を使用しています。
土壌改良剤
植物にとって住居とも言える土壌、この土壌を改良してあげることにより、植物をより快適に成長させてあげることが出来るようになります。人間が住む住居も長年住んでいると、風化して傷んできたり、時には天災を受ける事もあります。土壌も何回も繰り返して使っていると、傷んでしまうのです。土壌改良剤は、言わば土壌のリフォーム剤です。
ビートルパワーファーマー
土壌において肥料や有機物を分解しながら植物の吸収できる栄養(無機物)となるには微生物は必要不可欠であり微生物の働きでその後の生育は大きく左右されます。
微生物は分解しにくい有機物(魚粕、種粕等)ほど分解工程で活性化して微生物のチカラを発揮させながら土壌中の有用物質となります。また微生物が多くなると土壌は柔らかくなり最終的には地力向上の手段の一つとして有機物を分解した腐植を増加し保肥力を高めて土壌は安定していきます。
・菌種(10 種類)菌数が豊富で好気性、嫌気性の菌を共棲。
・有機物の分解を速やかに行い肥料の吸収を助ける。
・微生物が活動した後の代謝物が植物へ好影響。
・土壌の生物性が豊かになり柔らかい土となる。
・原料:微生物、水、魚エキス
堆肥類
土壌に有機分や微生物がなぜ必要かと言うと、バクテリアなどの微生物は有機成分を食糧として、無機物の肥料分を生み出します。せっかく有機系の肥料を施肥したとしても、良性の微生物が土中にいないと植物は十分に肥料分を吸収できないということです。土壌を使い続けて有機分や微生物がいなくなり、収量などを十分に確保出来ないことを“連作障害”と言い、連作障害の対策としては、もみ殻・牛フン・生ゴミなどから作られる堆肥を土壌に混ぜる方法があります。
また最近では、水で薄めて土壌に撒くタイプや、土壌の土と混ぜるタイプの促進材なども販売されております。
冬囲い資材
11月も半ばを過ぎると各地で初雪のニュースが報じられます。
本格的な降雪となる前に、庭木を冬囲いすることをお勧めいたします。
弊社では、冬囲いに必要な荒縄・ネットなどの冬囲い資材を各種取り揃えております。
荒縄
荒縄は稲わらを編んで作られる天然素材のロープです。長所はとにかく見た目が綺麗であるのと、植物を傷めにくいという点です。
販売されている単位は長さでは無く、重さで表記されていることが多いので、縄の太さが細いほど同じ重量だと長くなるのに対して、太ければ同じ重量でも短くなります。
殆どの場合、玉巻きで販売されております。
防風・防雪ネット
防風・防雪ネットは、冬囲い用のポリエチレンで作られたネットです。
4㎜目のネットで、最大の長所は安価であり腐食しないので長く使用することが出来ます。
“こも”や麻布などに比べると非常に軽いので、初心者の方でも作業がはかどります。ハサミ等でカットするにも切りやすく“ほつれにくい”のも助かります。
【4】霜害対策には不織布の活用を!
霜害とは?
霜害とは、春や秋の寒冷地で起こる植物障害で、霜が植物に付着することにより、植物を直接冷やしてしまい、生育活動が低下するほか、植物の中の水分が凍って養分などが滞り、枯れてしまったりする被害です。
北国など毎年霜が降りる地域では、霜が降りる時期に合わせて、農作物に霜対策を施すのですが、春の普段は霜が降りない時期に晩霜(おそじも)や、秋の普段は霜が降りない時期に早霜(はやじも)などが降りると、農作物に大きな被害を被ってしまいます。
霜は早春や晩秋に降ると思われがちですが、過去の観測記録では、北海道旭川で7月、宮城県仙台・東京・名古屋でも5月に観測されたことがあります。
春と秋の霜が降りるほど気温が下がると予想される時には、気象庁や各地の気象台から、注意喚起として霜注意報が発表されますが、これは晩霜・早霜の時期特有のもので、霜が毎日降りるような冬の時期には発表されません。
夕方のニュースや天気予報で、霜注意報が出ている時には、霜害に注意しなくてはいけません。
霜が降りるメカニズム
霜は、0℃以下に冷えた物体に、空気中の水蒸気が固体化して、氷の結晶となり堆積したものです。
空気と接触している物体の表面が霜点(温度が0℃以下の時の露点のこと)よりも低くなると、空気中の水蒸気が固体化し、植物の表面などに結晶構造を持つ氷が成長します。この結晶や、現象自体を霜と言います。
地域的には日本の各地で見られる現象で、特に標高が高い場所や、内陸部などでは放射冷却が起こりやすいので、最低気温が低くなりやすい場所で発生します。
条件としては、冬を含む寒い時期に、風が弱く穏やかに晴れて放射冷却が発生し、気温がおよそ5℃以下まで下がった朝、地面付近の温度は気温よりも数℃低い0℃以下となり、霜が降りやすくなります。気温がさらに低い場合は、昼間でも発生しますし、一日中霜が融けないこともあります。
なお、風が強い時や、雨や雪が降っている場合は、地表の冷却が進まなかったり、霜の成長が阻害されるので、気温が低くても霜が降りないことがあります。
急な霜注意報には不織布が便利
先にも書いたとおり、霜が毎日のように降りる冬の時期には、畝にビニールを被覆したり、マルチシートを敷いたりと、予め対策を施している時期です。
ところが晩春や早秋のように、”この時期では、そんなに冷えないよね”と思っている時期に、急に霜注意報は発表されます。
明日の早朝に降霜が予想された場合には、ビニールやマルチシートでは時間的に間に合わないことも多いかと思います。
このような時に使っていただきたいのが、農業用不織布です。
ポリプロピレン(PP)などの材料を使用し、農業用の不織布は他の不織布に比べて丈夫に出来ています。通気性・吸水性・保湿性に優れているうえ、何よりも軽いという利点があります。
”べたがけシート”などの名前で販売されているように、苗や植物に支柱無しで直接被せても、軽いので植物を傷めにくい構造となっています。
霜注意報が急に出ても、前日の夕方に不織布を掛けておくと、不織布で覆われた植物は保温効果もあって霜が降りにくくなります。
植物を直接覆うことが出来るので、作業時間が短くて済む分、急な霜注意報に対応できるという訳です。
不織布のデメリット
万能のようにも思われがちな不織布ですが、デメリットもございます。
ビニールなどの材質と比べると、傷みやすいので長期間使用するのには不向きです。1シーズン使用したら買換え時と思って使用するのが良いと思います。
不織布は毛羽立ちやすく、シワになりやすい特性をもっており、劣化していくと保温効果が薄れていきます。
特に露地で使用している場合には、日光や雨風の影響を受けるので、劣化が早まります。
せっかく覆っても効果が無いと困るので、不織布の状態を確認しながら使用していただければと思います。
せっかく育て始めた植物を、霜で痛めてしまっては勿体ないので、不織布を使って大切に育てていただきたいと思います。
【5】11月に農作業の始まる野菜
11月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
からしな | 二年生 | 15~20℃ | 8月~11月 | – | 11月~4月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
クレソン | 多年生 | 15~18℃ | 9月~11月 | – | 3月~6月 |
こごみ | 多年生 | 22℃前後 | 10月~11月 | – | 4月~5月 |
牛蒡 | 多年生 | 20~25℃ | 9月~11月 | – | 11月~2月 |
さやえんどう | 一年生 | 10~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
玉葱 | 多年生 | 15~20℃ | 8月~10月 | 10月~12月 | 3月~4月 |
菜の花 | 二年生 | 15~20℃ | 9月~12月 | – | 1月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
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