園芸歳時記 令和六年四月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】卯月<うづき>
「卯月」は“うづき・うつき”と読みます。卯月の意味や由来にはいくつか説があり、なかでも「卯の花が咲く月」が省略され「卯月」になったという説が有名です。
ほかにも、稲を植える月という意味の「植月(うゑつき)」「種月(うづき)」「田植苗月(たうえなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」が転じた説、一年の最初を意味する「初」「産」の「う」から「卯月」になった説があります。
また、十二支の4番目である「卯(うさぎ)」を当てはめた説もあります。しかしほかの月で干支をあてた例がないため、この説は不自然ともいわれております。
新生活のスタート
4月は新年度の始まりとしている官庁・教育機関・企業が多く、入学・入社・人事異動も4月におこなわれるのが一番多いです。
今までとは違った環境になるので戸惑うことも多いのですが、新しい友達や同僚などの出会いもあって、新鮮な気持ちで臨む人も多いのではないでしょうか?
いよいよ春爛漫となり気温も暖かくなるにつれ、これまで寒くて縮こまっていた体も暖かさにほぐされ、のびのびと活動的になる時期で何かを始めるには最適の時期ともいえます。年度のスタート、春から始まる取組として、園芸を楽しんでみませんか?
弊社のホームページでは、園芸に関する便利な商品の使い方を紹介したり、お問合せフォームからは個別のご相談も承っております。
【2】4月の二十四節気
清明 【4月4日】
清明(せいめい)とは万物が清らかで生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を訳した季語です。花が咲き、蝶が舞い、空は青く澄み渡り、爽やかな風が吹く頃です。
「こよみ便覧」には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とも記されております。
お花見にちょうど良い時季とされ、キンポウゲ科デルフィニウム属のヒエンソウ (Delphinium ajacis) は“清明”を花言葉にしております。
穀雨 【4月19日】
穀雨(こくう)とは、地上にあるたくさんの穀物に、たっぷりと水分と栄養がため込まれ、元気に育つよう、天からの贈り物でもある恵みの雨が、しっとりと降り注いでる頃のことです。また、田畑の準備が整う頃でもあります。
「こよみ便覧」には「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されております。
穀雨の終わりごろ(立夏直前)に八十八夜があります。
【3】4月は園芸が始まる時期
4月は雪も融け、園芸作業が始まる時期です。
毎月のご紹介では〇〇月に需要が高まる園芸商品と題してご紹介しておりますが、4月は多数の園芸用品の需要が高まるので、特に需要が高まる種類をご紹介いたします。
用土・培養土
用土(ようど)には、赤玉土や鹿沼土などの種類があり、通気性・保水性・土壌酸度などそれぞれの用土ごとに特長があります。その特長を上手に組み合わせてブレンドした土を培養土(ばいようど)と言います。
培養土は植物の”家”とも言えるものなので、自分で用土をブレンドして作ったり、あらかじめ特定の植物用にブレンドされた培養土も市販されております。
植木鉢・プランター
花壇や家庭菜園では露地で植物を栽培しますが、屋内や風除室、ちょっとしたスペースで植物を楽しみたい場合は、植木鉢やプランターなど、培養土を入れる入れ物が必要となります。
弊社ではプラスチック製の植木鉢やプランターはもちろん、陶器や磁器などの植木鉢も多数取り扱っております。
園芸支柱
植物の栽培を始めると、苗などを植栽することが多いと思われます。苗は人間でいうと赤ちゃんのようなものなので、支柱やビニールなどで保護してあげると安心です。
育つにつれ、背丈が伸びたりすると支えにも使用できるので、支柱を春先に用意しておくと何かと便利です。
イボ竹・鋼管支柱などの商品名で市販されております。
殺菌剤・殺虫剤
植物を育てていると、どうしても病気になったり、害虫がついてしまいます。
その対策として、殺菌剤や殺虫剤を散布する方法があります。
特に植物の病気に関しては予防が重要なので、病気が発生する前に殺菌剤を散布しておくことにより効果が期待出来ます。
サンヨール液剤AL
サンヨール液剤ALは、野菜や花の、病気と虫にダブルの効果がある殺菌殺虫剤です。
すぐに使用できる希釈タイプなので、初めて殺菌殺虫剤をご使用になる方には特におすすめいたします。
サンヨール液剤ALは害虫に直接散布することで、害虫は呼吸が出来ず窒息死する作用があり、抜群の効果が期待できます。
サンヨール乳剤
サンヨール乳剤は、殺菌及び殺虫の併殺効果が期待出来る非抵抗性の殺菌殺虫剤です。
野菜や花き類等のうどんこ病、べと病、灰色かび病、葉かび病、黒斑病及び褐斑病に優れた効果を発揮し、耐性が生じ難く、また、アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類、チュウレンジハバチ、ツツジグンバイ、およびナメクジ等にも物理的作用により殺虫する有機銅系の殺虫剤です。
果実、花および葉に対し汚染がなく新鮮さが増し、薬害が少なく、人畜に対する毒性も極めて低く、カブレの心配もありません。
ヨネポン乳剤
ヨネポン乳剤は、バクテリア・糸状菌防除の有機銅系殺菌剤です。
銅イオンによる殺菌効果であるため、病原菌の薬剤耐性化が生じにくいです。細菌、糸状菌性病害に卓効があり、安定した効果を発揮する殺菌剤です。
銅の含有量が少ないため、銅による土壌障害の軽減にも繋がります。
有効成分の一部が界面活性剤とよく似たものであるため、展着性が非常によく、作物及び菌体へよく付着します。
溶液なので沈殿がなく、作物が汚れることなく綺麗に仕上がります。
【4】庭木の剪定、時期はいつ頃が良いのか?
庭木の枝が伸びすぎたり、葉が多くつきすぎ、十分な日光が届かなくなってしまったら、剪定をしてあげる必要があります。
ですが選定作業は、いつでもやって良いわけではありません。適切な時期に剪定作業をしないと、かえって庭木を弱らせてしまう原因となるからです。
今回は、庭木の剪定についてご説明いたします。
庭木の剪定に適しているのは冬と夏
庭木の剪定時期は樹木によって異なります。
果樹などの場合、樹木内部にエネルギーが貯まっている10~2月頃にする冬季の剪定と、ほとんどの樹木が生育が盛んである4~6月にする夏季の剪定の2つの時期に剪定がおこなわれます。
また、盛夏期は樹木がもっとも成長する時期で、その時期に枝葉を切り落とす剪定をしてしまうと、切り落とされた分だけ成長をしようとし、結果、樹木が枯れたり、弱ったりしてしまうことがあります。
どの樹木でも、冬または夏に剪定すれば良いというものではなく、樹木の種類によって剪定時期は異なりますので、樹木の剪定時期が判らない場合は、専門家に聞くことをお勧めいたします。
冬季の剪定
冬季の剪定は、春から夏にかけて、樹木が順調に成長できるように枝葉を整えておく作業です。
余分な枝葉を落とすことで、樹木が成長に必要なエネルギーを貯えやすくしてあげるのが一番の目的です。
冬季の剪定は樹木によって異なりますが、10~2月の間に行われることが多いです。庭木もですが、この時期は特に果樹園などで選定作業が多く行われる傾向にあります。
夏季の剪定
夏季の剪定は、伸びすぎた枝葉をカットして、樹木の形を整えてあげるのが大きな目的です。また、不要な枝を切り落とすことで、風通しや採光を良くしてあげることもできます。
先ほども書いてありますが、盛夏期の剪定作業は避けたほうが良いので、4~6月の本格的に暑くなる前が良いのですが、樹木に花が咲いている時は剪定には適しません。花木に最も適した剪定時期は、花後といわれております。
大まかな樹木の3タイプ
樹木には、まず常緑か、落葉かの2つのタイプに分けることが出来ます。また、常緑のうち、葉っぱでさらに広葉か針葉かに分けることが出来るので、3タイプに分けることができます。
この3つのタイプごとに、おおまかに剪定時期を予測出来ます。
樹木のタイプ | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
常緑広葉樹 | ○ | ○ | ○ | △ | △ | △ | ||||||
常緑針葉樹 | ○ | ○ | △ | △ | ||||||||
落葉広葉樹 | ○ | ○ | △ | △ | △ | △ | ○ |
〇:基本剪定時期 △:軽剪定時期
常緑広葉樹
常緑広葉樹とは、常緑性の有る広葉樹のことです。通年を通して落葉せずに緑色の葉をつけ、横に広がった葉を付けます。この樹木の仲間には、以下のような樹木があります。
〇オリーブ
〇カルミア
〇アオキ
剪定は新芽が出てくる直前か、ある程度の数の新芽が顔を出した時期がおすすめです。
一方で、花の芽が見え隠れする時期に剪定をしてしまうと、花の咲きが悪くなります。夏の開花時に庭木が寂しい状態になるため、剪定は夏が始まる前に済ませたほうが良い樹木が多いです。
常緑針葉樹
常緑針葉樹とは、葉が針のように細長い樹木のことです。代表的な仲間として、マツやスギがあります。
針のように細い葉を持っていることが特長で、1年を通して落葉することがないので、単に針葉樹と言われる方が一般的です。この樹木の仲間には、以下のような樹木があります。
〇マツ
〇サワラ
〇モミの木
剪定は本格的に芽吹く前の春先に、基本剪定で枝葉を整えます。秋から冬にかけて軽い剪定をおこなうことで、枯れ枝が庭に落ちるのを防ぐことが出来ます。
落葉広葉樹
落葉広葉樹とは落葉性のある広葉樹のことです。落葉性とは、落葉期になると葉を落とすことで、この特徴のある広い葉を持つ植物を落葉広葉樹と呼びます。落葉期とは落葉広葉樹にとって生育に適さない時期のことです。この時期に葉を落とすことで無駄なエネルギーを使わないで環境に耐えようとします。落葉期はおもに冬や乾季です。この樹木の仲間には、以下のような樹木があります。
〇モミジ
〇アジサイ
〇ウメ
剪定は成長を止める冬に行うのが一般的です。
枝ぶりを確認しながら、次の年に美しく成長できるように、形を整えつつ剪定を進めます。
選定を苦手とする樹木もある
ここまでは、樹木の剪定に関してお勧めする内容を書いてきましたが、樹木のなかには、剪定されるのを苦手とする種類もあります。
その代表的な樹木がサクラで、「サクラ切る馬鹿、ウメ切らぬ馬鹿」という言葉があるほどです。
サクラは剪定した切り口が塞がりにくく、そこから雑菌が入ってしまい腐りやすくなってしまうため、剪定する場合には細心の注意が必要だということの例えです。
余談ですがウメはしっかり剪定してあげないと、樹形が崩れてしまい、良い花や実がつかなくなってしまうことの例えです。
庭木の剪定や手入れをすることにより、より樹木を元気に育てることが出来ますが、一方で剪定時期や選定方法が判らないといった場合には、造園業者や樹木医といった専門家のアドバイスを受けた方が、より的確な手入れできることを最後に書き加えておきます。
【5】4月に農作業の始まる野菜
4月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
明日葉 | 多年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | 4月~5月 | 3月~9月 |
アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
いんげん | 一年生 | 20℃前後 | 4月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
うど | 多年生 | 15~18℃ | – | 4月~5月 | 3月~5月 |
枝豆 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | – | 6月~8月 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
蕪 | 二年生 | 20℃前後 | 4月~9月 | – | 10月~11月 |
南瓜 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~6月 | 4月~7月 | 7月~12月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
胡瓜 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
くわい | 多年生 | 20~30℃ | – | 2月~4月 | 11月~2月 |
こごみ | 多年生 | 22℃前後 | – | 3月~4月 | 4月~5月 |
牛蒡 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~5月 | – | 11月~2月 |
小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
里芋 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 8月~12月 |
さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
ししとう | 一年生 | 22~30℃ | 2月 | 4月~5月 | 6月~8月 |
紫蘇 | 一年生 | 20~23℃ | 4月~6月 | 5月 | 6月~9月 |
じゃがいも | 多年生 | 10~25℃ | – | 3月~4月 | 5月~6月 |
春菊 | 一年生 | 15~20℃ | 3月~5月 | – | 11月~3月 |
生姜 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 6月~8月 |
西瓜 | 一年生 | 25℃前後 | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ズッキーニ | 一年生 | 20℃前後 | 2月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
そらまめ | 一年生 | 15~20℃ | 1月~3月 | 2月~4月 | 4月~6月 |
大根 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~4月 | – | 11月~2月 |
玉ねぎ | 多年生 | 15~20℃ | 2月~3月 | 4月~5月 | 3月~4月 |
ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
蔓紫 | 一年生 | 20~30℃ | 4月~7月 | – | 6月~10月 |
唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
冬瓜 | 一年生 | 25~30℃ | – | 4月~6月 | 7月~10月 |
とうもろこし | 一年生 | 20~30℃ | 3月~7月 | – | 7月~8月 |
トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
長芋(山芋) | 多年生 | 17~25℃ | – | 4月 | 11月~1月 |
長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
なす | 一年生 | 20~30℃ | 2月~3月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
苦瓜 | 一年生 | 20~30℃ | 3月~6月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
韮 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~4月 | 6月~7月 | 3月~5月 |
人参 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | – | 10月~12月 |
白菜 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | 4月~5月 | 11月~2月 |
パセリ | 二年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | – | 3月~4月 |
パプリカ | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ピーマン | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 3月~5月 | 11月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
水菜 | 二年生 | 15~25℃ | 4月~9月 | – | 12月~3月 |
三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
みょうが | 多年生 | 20~25℃ | – | 2月~4月 | 6月~10月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
メロン | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 5月~7月 |
モロヘイヤ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~6月 | 5月~7月 | 7月~8月 |
ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 4月~7月 | – | 4月~6月 |
レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
【6】4月頃にお読みいただきたいページのご紹介
質問・問い合わせは、メール、お電話で受付けしておりますのでお気軽にご連絡ください。
お問合わせはこちら