園芸歳時記 令和六年五月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】皐月<さつき>
皐月という名前の由来は諸説あります。一説には、田植をする月であることから「早苗月(さなへつき)」と言っていたものを略したという説です。
二つ目は、稲を植えることを古語で「さ」と呼び田植えの月ということで「さ」月となったというものです。
漢字「皐」には「神に捧げる稲」の意味があるため、皐月が当てられたとも言われています。皐月は、さわやかな新緑の頃、田の神様を奉じて田植えをする季節を意味します。
また、かつて物忌み月と言って禁欲の期間としたこともあったようです。
また、皐月というツツジ科の植物があり、山奥の岩肌などに自生し可憐な花を咲かせるため、盆栽などで親しまれています。サツキツツジ(皐月躑躅)などとも呼ばれていますが、他のツツジより開花が一ヶ月程度遅く、旧暦の5月頃に一斉に咲き揃うところからその名が付いたそうです。
端午の節句
5月5日は端午の節句としてお祝いをする風習があります。”節句”とは、日本の宮廷において節会(せちえ)と呼ばれる宴会が開かれた日のことを言います。
この節会は毎年日にちが決まっており、1月7日「人日【七草の節句】」、3月3日「上巳【桃の節句】」、5月5日「端午【菖蒲の節句】」、7月7日「七夕」、9月9日「重陽【菊の節句】」の年間五節句でした。
鎌倉時代のように武士の活躍する時代となると、「菖蒲」と「尚武」が同じ読みであることから、端午の節句は男の子の節句として、成長を祝い、健康を祈るようになったといわれております。
室内に飾る、鎧・兜・刀などの五月人形は、男子の身体を守るという意味合いが込められています。
また、庭に飾る”こいのぼり”は中国の故事で、黄河の急流にある竜門と呼ばれる滝を、多くの魚が登ろうと試みたが鯉のみが登り切り、竜になることが出来たことにちなんで鯉の滝登りが立身出世の象徴となったことに因みます。栄達するための難関を「登竜門」と呼ぶのも、この故事に基づきます。
【2】5月の二十四節気
立夏 【5月5日】
春が極まり夏の気配が立ち始める日。『暦便覧』には「夏の立つがゆへ也」と記されています。春分と夏至の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、この日から立秋の前日までが暦では夏とされます。
新緑の季節で、九州では麦が穂を出し、北海道では馬鈴薯や豆の種まきが始まります。 蛙が鳴き出すのもこの頃からです。
小満 【5月20日】
万物が次第に成長して、一定の大きさに達して来る頃です。『暦便覧』には「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されており、ようやく暑さも加わる頃で、麦の穂が育ち、山野の草木が実をつけ始め、紅花が盛んに咲き乱れます。
梅の実がなり、西日本では、走り梅雨がみられる頃。田植えの準備を始める頃でもあります。
【3】ゴールデンウィークからの家庭菜園
5月に入り初夏の陽気を感じると、「今から家庭菜園を始めるには遅いかな?」と感じている方も多いと思いますが、気温が十分に上がるゴールデンウィークは、園芸を始めるにはとても良い時期です。
トマトやナス、キュウリといった定番の野菜はもちろん、アスパラガスやズッキーニ、パプリカといった西洋野菜などの定植もまだまだ間に合います。
ホームセンターやガーデンセンターでは、野菜苗を販売している頃なので、この機会に家庭菜園を始めてみてはいかがでしょうか?
用土・培養土
用土(ようど)には、赤玉土や鹿沼土などの種類があり、通気性・保水性・土壌酸度などそれぞれの用土ごとに特長があります。その特長を上手に組み合わせてブレンドした土を培養土(ばいようど)と言います。
培養土は植物の”家”とも言えるものなので、自分で用土をブレンドして作ったり、あらかじめ特定の植物用にブレンドされた培養土も市販されております。
植木鉢・プランター
花壇や家庭菜園では露地で植物を栽培しますが、屋内や風除室、ちょっとしたスペースで植物を楽しみたい場合は、植木鉢やプランターなど、培養土を入れる入れ物が必要となります。
弊社ではプラスチック製の植木鉢やプランターはもちろん、陶器や磁器などの植木鉢も多数取り扱っております。
園芸支柱
植物の栽培を始めると、苗などを植栽することが多いと思われます。苗は人間でいうと赤ちゃんのようなものなので、支柱やビニールなどで保護してあげると安心です。
育つにつれ、背丈が伸びたりすると支えにも使用できるので、支柱を春先に用意しておくと何かと便利です。
イボ竹・鋼管支柱などの商品名で市販されております。
育成ネット類
育成ネットは、主にツル性植物や実のなる野菜を栽培した時に、支柱と組み合わせて植物や果菜を保護するために使用します。
いろいろな名前で販売されておりますが、もっとも目にする機会が多いのは、きゅうりネットでしょう。ただし、市販のきゅうりネットは、プロの農家さん向けの商品が多く、糸も細い事や、商品サイズも営利畑作用なので大きく、園芸初心者の方や、家庭菜園向けとしては使いにくかもしれません。
最近では、”家庭菜園ネット”や、”園芸ネット”などの商品名で、糸の太さも太く、1m~2m巾、もしくはプランターサイズに合わせたネットも市販されておりますので、小規模な栽培にはこちらのネットの方が使いやすいと思います。
殺菌剤・殺虫剤
植物を育てていると、どうしても病気になったり、害虫がついてしまいます。
その対策として、殺菌剤や殺虫剤を散布する方法があります。
特に植物の病気に関しては予防が重要なので、病気が発生する前に殺菌剤を散布しておくことにより効果が期待出来ます。
サンヨール液剤AL
サンヨール液剤ALは、野菜や花の、病気と虫にダブルの効果がある殺菌殺虫剤です。
すぐに使用できる希釈タイプなので、初めて殺菌殺虫剤をご使用になる方には特におすすめいたします。
サンヨール液剤ALは害虫に直接散布することで、害虫は呼吸が出来ず窒息死する作用があり、抜群の効果が期待できます。
サンヨール乳剤
サンヨール乳剤は、殺菌及び殺虫の併殺効果が期待出来る非抵抗性の殺菌殺虫剤です。
野菜や花き類等のうどんこ病、べと病、灰色かび病、葉かび病、黒斑病及び褐斑病に優れた効果を発揮し、耐性が生じ難く、また、アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類、チュウレンジハバチ、ツツジグンバイ、およびナメクジ等にも物理的作用により殺虫する有機銅系の殺虫剤です。
果実、花および葉に対し汚染がなく新鮮さが増し、薬害が少なく、人畜に対する毒性も極めて低く、カブレの心配もありません。
ヨネポン乳剤
ヨネポン乳剤は、バクテリア・糸状菌防除の有機銅系殺菌剤です。
銅イオンによる殺菌効果であるため、病原菌の薬剤耐性化が生じにくいです。細菌、糸状菌性病害に卓効があり、安定した効果を発揮する殺菌剤です。
銅の含有量が少ないため、銅による土壌障害の軽減にも繋がります。
有効成分の一部が界面活性剤とよく似たものであるため、展着性が非常によく、作物及び菌体へよく付着します。
溶液なので沈殿がなく、作物が汚れることなく綺麗に仕上がります。
【4】うどんこ病対策にサンヨール液剤AL
そもそもうどんこ病とは?
うどんこ病とは、ウドンコカビ科の寄生菌が原因となり、植物の葉や茎にうどん粉をかけたように白くなる症状で、比較的容易に他の病害と区別することができます。
一か所から始まり、広がるとともに分生子を形成して離れた場所でも感染してしまう厄介な病気です。
特に梅雨時に多く見かける病気でその理由としては、うどんこ病菌の分生子は他の糸状菌よりも豊富に水分を含み、しかも吸湿性が良いため乾燥条件でも発芽できてしまいます。
他の糸状菌と同様に高湿度下でよく増殖しますが、その分生子は過剰に水を含むと膨張し、原形質膜が破れて死滅することがあり、発芽率が低下することもあります。
うどんこ病が発生してしまったら
うどんこ病は自然治癒ができる病気です。初期の段階であれば、自作のスプレーを散布するなどして、繁殖を抑えて植物を守ることも可能です。
特に夏は、植物の回復力も高いものが多いので、見つけ次第対処していくことが大切です。
葉っぱに白い斑点を見つけたときは、1週間前後の間隔を空けて、薄めた酢(酸性)や重曹(アルカリ性)をスプレーします。酢の酸性や重曹のアルカリ性に触れさせるだけで効果があります。ただし、重度の症状で繁殖が止まらなくなると、うどんこ病になった葉を摘み取り、二次災害を防ぐために強い薬剤を散布する必要があります。
うどんこ病対策にサンヨール液剤AL
うどんこ病を起こすカビにもいくつか種類があり、同じ殺菌剤では効かないことがあるので注意してください。例えば、キュウリにはキュウリだけに付着・繁殖するうどんこ病の菌があります。対象となる植物や果物、野菜の名前を確認し、適切な薬剤を使うことが大切です。
サンヨール液剤ALは、キュウリ・トマト・ピーマン・スイカなどの果菜類ばかりではなく、バラ・菊・ペチュニアなどの花卉類まで幅広い植物に対応した殺菌殺虫剤です。
うどんこ病の他にも、べと病、かび病、さび病の病気類のほか、アブラムシ類やハダニ類などの害虫にも効果がありますので、1本で色々な病気や虫に対応出来るのでとても経済的です。
※写真をクリックすると、製品の詳細な紹介ページへと進みます。
使い方はとても簡単
既に希釈している商品なので、スプレーなどの容器を用意する必要はなく、そのままご使用いただけます。
使用回数などは、製品の裏側に作物ごとの使用回数をラベル表記しておりますので、使用回数や使用時期を守ってご使用ください。
小さいお子さんの手の届くところには置かないのと、使用後の空容器は3回以上洗浄してから、適切に処理するように注意してください。
植物の病気は予防がとても大切
植物の病気は予防がとても大切です。病気になるには原因が必ずあるので、その原因を発生させなければ病気になるリスクはグンと減らすことが出来ます。
うどんこ病の予防に効果がある対策をいくつかご紹介いたします。
風通しの良い場所で、葉を密集させない
風通しが悪いと植物にとっても生育環境が悪くなることからも、うどんこ病のカビが発生しやすくなります。
また、葉が密集していると風通しが悪くなります。うどんこ病以外の病害虫も発生しやすい環境になるため、蒸れるような環境は避けましょう。
日あたりの良い場所で植物を育てる
日当たりの悪い環境と日当たりの良い環境を比べたとき、うどんこ病は日当たりの悪い環境下で発病しやすい傾向があります。
日あたりは光合成をするのにも、とても大切なので植物の特性にもよりますが、できるだけ日の当たる環境で育てましょう。
マルチングなどをして、土や泥の跳ね返りを防ぐ
カビは土の中で増殖しているので、水やりや降雨による泥はねが起きないように気をつけましょう。
またマルチシートで被覆してあげると、保温効果や害虫対策にも有効となる場合があるので、とても効果的です。
同じ植物をたくさん並べない
作物によってうどんこ病のカビの種類が違うため、同じ種類にしか感染しないものがほとんどです。そのため、キュウリなどによくありますが、同じ植物を近くにたくさん並べて育てていると、カビがどんどん広がってしまいます。
【5】5月に農作業の始まる野菜
5月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
明日葉 | 多年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | 4月~5月 | 3月~9月 |
アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
いんげん | 一年生 | 20℃前後 | 4月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
うど | 多年生 | 15~18℃ | – | 4月~5月 | 3月~5月 |
枝豆 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | – | 6月~8月 |
オクラ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~9月 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
蕪 | 二年生 | 20℃前後 | 4月~9月 | – | 10月~11月 |
南瓜 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~6月 | 4月~7月 | 7月~12月 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
胡瓜 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
クレソン | 多年生 | 15~18℃ | 4月~5月 | 2月~4月 | 3月~6月 |
牛蒡 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~5月 | – | 11月~2月 |
小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
薩摩芋 | 多年生 | 25~30℃ | – | 5月~6月 | 9月~12月 |
里芋 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 8月~12月 |
さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
ししとう | 一年生 | 22~30℃ | 2月 | 4月~5月 | 6月~8月 |
紫蘇 | 一年生 | 20~23℃ | 4月~6月 | 5月 | 6月~9月 |
春菊 | 一年生 | 15~20℃ | 3月~5月 | – | 11月~3月 |
生姜 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 6月~8月 |
西瓜 | 一年生 | 25℃前後 | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ズッキーニ | 一年生 | 20℃前後 | 2月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
セロリ | 一年生 | 16~21℃ | 5月~6月 | – | 12月~4月 |
玉ねぎ | 多年生 | 15~20℃ | 2月~3月 | 4月~5月 | 3月~4月 |
ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
蔓紫 | 一年生 | 20~30℃ | 4月~7月 | – | 6月~10月 |
唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
冬瓜 | 一年生 | 25~30℃ | – | 4月~6月 | 7月~10月 |
とうもろこし | 一年生 | 20~30℃ | 3月~7月 | – | 7月~8月 |
トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
なす | 一年生 | 20~30℃ | 2月~3月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
苦瓜 | 一年生 | 20~30℃ | 3月~6月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
人参 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | – | 10月~12月 |
白菜 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | 4月~5月 | 11月~2月 |
パセリ | 二年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | – | 3月~4月 |
パプリカ | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ピーマン | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
水菜 | 二年生 | 15~25℃ | 4月~9月 | – | 12月~3月 |
三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
メロン | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 5月~7月 |
モロヘイヤ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~6月 | 5月~7月 | 7月~8月 |
落花生 | 一年生 | 15~25℃ | 5月~6月 | – | 9月~10月 |
ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 4月~7月 | – | 4月~6月 |
レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
【6】5月頃のご参考ページ
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