園芸歳時記 令和七年二月
園芸に関係する四季折々の気候や栽培情報、関連する最近の話題などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】如月<きさらぎ>
日本では旧暦2月を如月(きさらぎ、絹更月、衣更月と綴ることもあります)と呼び、現在では新暦2月の別名として用いることもあります。「如月」は中国での二月の異称をそのまま使ったもので、日本の「きさらぎ」という名称とは関係がないとされております。
また、「きさらぎ」という名前の由来にも諸説あります。
○旧暦二月でもまだ寒さが残っているので、衣(きぬ)を更に着る月であるから「衣更着(きさらぎ)」とする説。
○草木の芽が張り出す月であるから「草木張月(くさきはりづき)」とする説。
○前年の旧暦八月に雁が来て、更に燕が来る頃であるから「来更来(きさらぎ)」とする説。
○陽気が更に来る月であるから「気更来(きさらぎ)」とする説。
他にも梅見月(むめみつき)、木目月(このめつき)等の別名もあります。
旧暦二月は新暦では3月ごろに当たり、ちょうど梅の花が咲く頃でもあります。
建国記念の日
建国記念日は世界中で多くの国々が制定し祝日としてお祝いされております。
例えば、アメリカ合衆国は1776年に大陸会議でアメリカ独立宣言に署名がされた7月4日を「独立記念日」として、フランスでは1789年バスティーユ牢獄襲撃・政治犯解放でフランス革命が始まった7月14日を「国民祭典」としてといった具合です。
では、日本の「建国記念の日」はなぜ2月11日なのでしょうか?
答えは神武天皇が即位したとされる日
日本の「建国記念の日」は初代天皇とされる神武天皇が即位した日をグレゴリオ暦に直した場合、2月11日になることから、この日を昭和41年に建国記念の日として祝日に加えられました。各国のように独立した日というわけではないからか、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」を趣旨とした祝日とされております。ちなみに国民の祝日は「国民の祝日に関する法律」により、それぞれの日が定められているのですが、唯一「建国記念の日」のみ政令で2月11日と定められている祝日だそうです。
祝日の意味や、その日になった理由など、調べてみると意外な発見があるということで、この項目を締めくくりたいと思います。
【2】2月の二十四節気
立春 【2月3日】
旧暦では、一年のはじまりは立春からと考えられていました。そのため、節分や八十八夜など、季節の節目の行事は立春を起点として定められています。梅の花が咲き始め、徐々に暖かくなり、春の兆しがところどころで見られます。
『暦便覧』には「春の気立つを以って也」と記されており、冬至と春分の中間に当たり、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合は、この日から立夏の前日までが春となります。
九州など暖かい地方では梅が咲き始めますが、日本列島の大半の地域では立春の頃に寒気や荒天のピークとなることが多いです。南岸低気圧の発生も立春を境に多くなり、平成26年には豪雪によって関東で記録的な大雪になったのも立春後のことでした。
二十四節気が成立した中国内陸部は大陸性気候のためこの時期は気温が上がり始める頃ですが、日本各地で春が訪れるのはもう少し先となります。
雨水 【2月18日】
雨水(うすい)とは、空から降るものが雪から雨に変わり、雪解けが始まる頃のことです。山に積もった雪もゆっくりと解け出し、田畑を潤します。昔から、雨水は農耕を始める時期の目安とされてきました。
『暦便覧』には「陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となればなり」と記されておりますが、実際は積雪のピークであり、それゆえこの時節から寒さも峠を越えたと見ることもできます。
特に初候は土脉潤起(つちのしょう うるおい おこる)といわれ、冷たい雪が暖かい春の雨に代わり大地に潤いをあたえる頃で、寒さもゆるみ眠っていた動物も目覚めるといわれております。
【3】2月に需要が高まる園芸商品
活力剤
活力剤は、植物の肥料三要素といわれる「窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)」が肥料の規定量を満たさず、薄い濃度に希釈したものが該当します。
肥料とはいわれない成分が入っていて、植物のからだや成長の助けとなる二次要素と微量元素が含まれています。
活力剤の成分となる二次要素と微量元素は、主にミネラル成分でビタミンやアミノ酸などが含まれ、植物の生育を活性させます。
開花前線活力剤アンプル
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安価で、植物を問わず使用出来る『開花前線アンプル』を是非お試しください。
HB101
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活力剤は1年中どの時期でも、植物に元気がない時や、さらに丈夫に育てたい時に使える栄養剤です。
ネズミ対策用品
ネズミは寒さに弱く暖かい環境を好むため、寒さの厳しい自然環境から暖かい建物の中に逃げ込んで来ます。気温が下がるとネズミは体温を維持するためにより多くのエネルギーが必要となります。さらに、冬場は自然界での食料確保が難しくなり、ネズミは台所やゴミ置き場などに現れ食料などを荒らすようになります。
弊社は業務用から家庭用まで、あらゆるネズミ対策商材を取り揃えております。
水につよいチュークリン業務用
安心の日本製。プロの駆除業者も使っている耐水台紙で、水濡れに強く使用場所を選びません。
・衛生業者が実際に業務で使用している、耐水性の台紙と波型粘着剤を使用したシートです。
・殺鼠剤のような毒性物質を含まないので、安心してお使いいただけます。
ネズレスプロ置くだけ
・ネズミの嫌がる強力な臭いにより、ネズミの嗅覚を麻痺させて追い出す臭気タイプの忌避剤です。
・本品を常時設置することにより、ネズミに警戒心を与え近寄らなくさせます。
・分包のまま置くだけなので、取扱いが簡単です。
・臭いは約1~2ヶ月持続。成分には天然抽出物を使用しています。
土壌改良剤
植物にとって住居とも言える土壌、この土壌を改良してあげることにより、植物をより快適に成長させてあげることが出来るようになります。人間が住む住居も長年住んでいると、風化して傷んできたり、時には天災を受ける事もあります。土壌も何回も繰り返して使っていると、傷んでしまうのです。土壌改良剤は、言わば土壌のリフォーム剤です。
ビートルパワーファーマー
土壌において肥料や有機物を分解しながら植物の吸収できる栄養(無機物)となるには微生物は必要不可欠であり微生物の働きでその後の生育は大きく左右されます。
微生物は分解しにくい有機物(魚粕、種粕等)ほど分解工程で活性化して微生物のチカラを発揮させながら土壌中の有用物質となります。また微生物が多くなると土壌は柔らかくなり最終的には地力向上の手段の一つとして有機物を分解した腐植を増加し保肥力を高めて土壌は安定していきます。
・菌種(10 種類)菌数が豊富で好気性、嫌気性の菌を共棲。
・有機物の分解を速やかに行い肥料の吸収を助ける。
・微生物が活動した後の代謝物が植物へ好影響。
・土壌の生物性が豊かになり柔らかい土となる。
・原料:微生物、水、魚エキス
たい肥類
土壌に有機物や微生物がなぜ必要かと言うと、バクテリアなどの微生物は有機物を食糧として、無機物の肥料成分を生み出します。せっかく有機系の肥料を施肥したとしても、良性の微生物が土中にいないと植物は十分に肥料成分を吸収できないということです。土壌を使い続けて有機物や微生物がいなくなり、収量などを十分に確保出来ないことを“連作障害”と言い、連作障害の対策としては、もみ殻・牛フン・生ゴミなどの有機物から作られる堆肥を土壌に混ぜる方法があります。
また最近では、水で薄めて土壌に撒くタイプや、土壌の土と混ぜるタイプの促進材なども販売されております。
くん炭
くん炭はもみ殻や木くずを、400℃以下の低温でじっくりと蒸し焼きにして作る土壌改良剤で、業務用としても、家庭園芸用としても幅広く使用されます。
400℃前後で焼かれることにより、腐生性微生物の餌となる有機物を一切含まず、細菌やかびの繁殖を抑えることが出来るうえ、保水性・排水性・通気性の向上や消臭などの効果があるので、直接畑に入れたり、培養土の原料にもなります。
また北国では、黒いくん炭は日光を浴びることにより、周囲を温め畑の雪を早く消して、なおかつ土壌改良にもなるので大変重宝がられます。
【4】ほ場の融雪を考える
今シーズンの冬は、近年まれにみる大雪となっている地域もあります。かくいう筆者も、昨年のクリスマス前から、年末・年始の連続寒波による雪かきで、ヘトヘトの状態です。
気持ちを切り替えて、春に向けてどんなことをしなければいけないのか考えてみましたが、まずは”ほ場”の雪をどうにかして消さないことには何も始まらないと思い、どのように雪を消そうかと色々と調べてみました。
ほ場の雪消しにはNGな物質
道路や玄関先用にホームセンターなどで販売されている融雪剤や凍結防止剤などは、多くの場合「塩化カルシウム」や「塩化マグネシウム」などの物質がふくまれております。これらの塩化化合物を雪消しとしてほ場に散布してしまうと、塩害を起こしてしまうので使用はお勧め出来ません。塩害を起こしたほ場は農作物が育たなくなってしまうので、ご注意ください。
また、尿素なども融雪効果がありますが、窒素分を多く含むのと、最近は単価が高いのでこちらもあまりお勧め出来ません。
炭成分の融雪資材
北国の農園芸では昔から用いられた方法で、炭を利用した融雪が多く用いられております。もともと炭成分の資材は、土壌改良剤としてほ場に散布する場合もあり、ほ場にとっては無害なので安心して使用できるという利点があります。
焼成灰や、くん炭などを利用しているのがよく見かけられます。
くん炭
くん炭にも種類はありますが、もっとも農作業で使用される頻度が高いのは「もみがらくん炭」ではないでしょうか?理由として、もみがらくん炭の原料が水稲栽培で必ず出てくるからです。
この農作業で出てきたもみ殻を、自分でくん炭器を使用して作るか、くん炭屋さんへ持って行き、くん炭にしてもらいます。
ほ場への散布は手で撒く場合が多いです。
粉炭
農園芸用の粉炭は、木炭や竹炭などを細かく砕いたものが市販されております。
農業用の粉炭も元々はほ場の土壌改良剤として製造されているものなので、ほ場に撒きすぎたとしても害を与えるものではありません。
かなり細かく砕かれている粉炭であれば、機械などで散布することが出来る粉炭もあります。
液体融雪剤
農業用の液体融雪剤は、主成分がカーボンブラック(すす)を原料として製造されているため、ほ場に散布しても害のあるものではありません。
固形の雪消し材との大きく違うのは、液体であるため、散布した後に飛散することがありません。また、噴霧器やドローンで散布することも可能なので、作業効率が良く面積の大きなほ場には使い勝手の良い雪消し材と言えるかもしれません。
ここまで紹介した3種類の雪消し材ですが、全て炭の成分を原料としております。雪消しのメカニズムとしては、ほ場に散布された黒い物質が、太陽の光を吸収し、吸収した光を熱に変換して周囲の雪を溶かすというものです。
化学変化による雪消しではないので、散布したとしても雪が解けるには日照に大きく左右されるのはご理解願います。
炭成分の雪消し材を利用して、早く雪を消し、農園芸を再開したいものですね。
【5】2月に農作業の始まる野菜
2月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
くわい | 多年生 | 20~30℃ | – | 2月~4月 | 11月~2月 |
さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
ししとう | 一年生 | 22~30℃ | 2月 | 4月~5月 | 6月~8月 |
ズッキーニ | 一年生 | 20℃前後 | 2月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
そらまめ | 一年生 | 15~20℃ | 1月~3月 | 2月~4月 | 4月~6月 |
玉ねぎ | 多年生 | 15~20℃ | 2月~3月 | 4月~5月 | 3月~4月 |
唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
なす | 一年生 | 20~30℃ | 2月~3月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 3月~5月 | 11月~3月 |
ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
みょうが | 多年生 | 20~25℃ | – | 2月~4月 | 6月~10月 |
芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
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