園芸歳時記 令和七年四月
園芸に関係する四季折々の気候や、栽培情報などを園芸歳時記と題して月ごとにご紹介しております。
過去に弊社ホームページで特集した内容など、この時期に閲覧していただきたい内容を今回は6項目に分けてご紹介しております。
これからどのような気候になるのか?どんな植物を育て始めようか?と思われている方にご参考にしていただきたいと思います。
【1】卯月<うづき>
「卯月」は“うづき・うつき”と読みます。卯月の意味や由来にはいくつか説があり、なかでも「卯の花が咲く月」が省略され「卯月」になったという説が有名です。
ほかにも、稲を植える月という意味の「植月(うゑつき)」「種月(うづき)」「田植苗月(たうえなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」が転じた説、一年の最初を意味する「初」「産」の「う」から「卯月」になった説があります。
また、十二支の4番目である「卯(うさぎ)」を当てはめた説もあります。しかしほかの月で干支をあてた例がないため、この説は不自然ともいわれております。
4月頃に旬の野菜 ”新タマネギ”
タマネギの中でも極早生種または早生種のものが「新タマネギ」と呼ばれています。
タマネギはヒガンバナ科ネギ属の多年草で、園芸上では一年草もしくは二年草として扱われます。かつて、クロンキスト体系による分類ではユリ科に属しておりました。
種から育てる場合は、8月~9月上旬に種まきをしますが、発芽の適温が15~25℃といわれており、高温すぎると発芽障害や、大苗となってトウ立ちの原因ともなります。まだまだ残暑のある時期の種まきとなるので、温度管理には気をつけてください。
苗で育てる場合は、極早生種で9~10月頃、早生種では10~11月頃とされておりますが、温暖な地域と寒冷地では違いますので、地域の種苗店などに入荷日や定植時期を問い合わせた方が、より確実に育てることができます。
種植えでも苗植えでも、厳寒期の前には活着させなければなりません。目安となるのは、日平均気温が5℃に低下する1ヶ月前くらいが植え付け時期となりますので、寒冷地ほど植え付け時期は早くなります。
「新タマネギ」の食べ方
早生種のタマネギの特長は、何といってもみずみずしさです。スライスしてサラダにしたり、浅漬けや、ホイル蒸しにすると新タマネギの特長を引き出せます。
加熱することで甘みも出てくるので、ポトフなどの煮込み料理や、スープ、みそ汁などにしても相性が良い食材です。タマネギの甘みが特長なので、味付けは薄めにするのがお勧めです。
【2】4月の二十四節気
清明 【4月4日】
清明(せいめい)とは万物が清らかで生き生きとした様子を表した「清浄明潔」という言葉を訳した季語です。花が咲き、蝶が舞い、空は青く澄み渡り、爽やかな風が吹く頃です。
「こよみ便覧」には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」とも記されております。
お花見にちょうど良い時季とされ、キンポウゲ科デルフィニウム属のヒエンソウ (Delphinium ajacis) は“清明”を花言葉にしております。
穀雨 【4月20日】
穀雨(こくう)とは、地上にあるたくさんの穀物に、たっぷりと水分と栄養がため込まれ、元気に育つよう、天からの贈り物でもある恵みの雨が、しっとりと降り注いでる頃のことです。また、田畑の準備が整う頃でもあります。
「こよみ便覧」には「春雨降りて百穀を生化すればなり」と記されております。
穀雨の終わりごろ(立夏直前)に八十八夜があります。
【3】4月は園芸が始まる時期
4月は雪も溶け、園芸作業が始まる時期です。
毎月のご紹介では〇〇月に需要が高まる園芸商品と題してご紹介しておりますが、4月は多数の園芸用品の需要が高まるので、特に需要が高まる種類をご紹介いたします。
用土・培養土
用土(ようど)には、赤玉土や鹿沼土などの種類があり、通気性・保水性・土壌酸度などそれぞれの用土ごとに特長があります。その特長を上手に組み合わせてブレンドした土を培養土(ばいようど)と言います。
培養土は植物の”家”とも言えるものなので、自分で用土をブレンドして作ったり、あらかじめ特定の植物用にブレンドされた培養土も市販されております。
植木鉢・プランター
花壇や家庭菜園では露地で植物を栽培しますが、屋内や風除室、ちょっとしたスペースで植物を楽しみたい場合は、植木鉢やプランターなど、培養土を入れる入れ物が必要となります。
弊社ではプラスチック製の植木鉢やプランターはもちろん、陶器や磁器などの植木鉢も多数取り扱っております。
園芸支柱
植物の栽培を始めると、苗などを植栽することが多いと思われます。苗は人間でいうと赤ちゃんのようなものなので、支柱やビニールなどで保護してあげると安心です。
育つにつれ、背丈が伸びたりすると支えにも使用できるので、支柱を春先に用意しておくと何かと便利です。
イボ竹・鋼管支柱などの商品名で市販されております。
殺菌剤・殺虫剤
植物を育てていると、どうしても病気になったり、害虫がついてしまいます。
その対策として、殺菌剤や殺虫剤を散布する方法があります。
特に植物の病気に関しては予防が重要なので、病気が発生する前に殺菌剤を散布しておくことにより効果が期待出来ます。
サンヨール液剤AL
サンヨール液剤ALは、野菜や花の病気と虫にダブルの効果がある殺菌殺虫剤です。
すぐに使用できる希釈タイプなので、初めて殺菌殺虫剤をご使用になる方には特におすすめいたします。
サンヨール液剤ALは害虫に直接散布することで、害虫は呼吸が出来ず窒息死する作用があり、抜群の効果が期待できます。
サンヨール乳剤
サンヨール乳剤は、殺菌及び殺虫の併殺効果が期待出来る非抵抗性の殺菌殺虫剤です。
野菜や花き類等のうどんこ病、べと病、灰色かび病、葉かび病、黒斑病及び褐斑病に優れた効果を発揮し、耐性が生じ難く、また、アブラムシ類、ハダニ類、コナジラミ類、チュウレンジハバチ、ツツジグンバイ、およびナメクジ等にも物理的作用により殺虫する有機銅系の殺虫剤です。
果実、花および葉に対し汚染がなく新鮮さが増し、薬害が少なく、人畜に対する毒性も極めて低く、カブレの心配もありません。
ヨネポン乳剤
ヨネポン乳剤は、バクテリア・糸状菌防除の有機銅系殺菌剤です。
銅イオンによる殺菌効果であるため、病原菌の薬剤耐性化が生じにくいです。細菌、糸状菌性病害に卓効があり、安定した効果を発揮する殺菌剤です。
銅の含有量が少ないため、銅による土壌障害の軽減にも繋がります。
有効成分の一部が界面活性剤とよく似たものであるため、展着性が非常によく、作物及び菌体へよく付着します。
溶液なので沈殿がなく、作物が汚れることなく綺麗に仕上がります。
【4】グリーンカーテンの準備をしよう!
近年では7~8月頃になると気温が35℃以上の猛暑日や、40℃以上の酷暑日となるニュースをよく目にします。エアコンなどを適切に使用して凌ぐのはもちろんですが、つる性植物を利用して室内の温度上昇を緩和する方法があり、それがグリーンカーテンと呼ばれる方法です。
植物ですので、設置してすぐに効果が出てくるものではありません。7~8月頃に緑が生い茂るグリーンカーテンを作りたいのであれば、4~5月頃に定植するのが一番良い頃合いです。
グリーンカーテンは植物を育てて作るので、電気を使用しないなどエコに涼しさを得られるというメリットがあります。また、ゴーヤやパッションフルーツを育てると収穫も楽しむことが出来ます。
どうやって作るの?
グリーンカーテンとは、つる性の植物を建物外の窓際で育てネットに絡ませ、カーテン状にすることです。
カーテン状の植物によって日陰ができ、室温の上昇を抑えることが出来るのと、植物の蒸散作用によって建物周辺の熱が吸収され、部屋に入ってくる空気の温度を下げることも期待できます。
植物の光合成の効果により、部屋にさわやかで新鮮な空気が入ってくることもメリットの1つと言えます。その他にも緑は心理的に落ち着く色であるため、リラックス効果もあります。
さまざまな効果を持つグリーンカーテンは、自然の空調設備となるので、グリーンカーテンを取り入れることにより、エアコンの使用量を減らすことも期待できます。地球にも人間にも優しい暑さ対策とも言えます。
シーズンオフの撤去について
エコな一方で、デメリットもあります。それは秋になってから枯れてしまった後の後始末が大変なことです。私自身もグリーンカーテンを一夏育てた経験がありますが、一番大変だったのは後始末でした。
グリーンカーテンに使用するつる性の植物の大部分は繊維が強く、干からびてしまって、引き剥がしたり、撤去するのは結構な労力を必要とします。
この対策にはワンシーズン使いきりの園芸ネットをお勧め致します。比較的安価(200~700円前後)で、シーズンが終わったら、絡みついた弦ごと燃えるゴミに出してしまうことが出来ます。
グリーンカーテンに人気のある植物
朝顔

・分類:一年草
・原産地:熱帯から亜熱帯地域
・草丈/樹高:20cm~6m
・開花期:7月中旬~10月上旬
・花色:白,赤,ピンク,青,紫,複色
・耐寒性:弱い
・耐暑性:強い
・特性や用途:開花期が長く、初心者でも育てやすい。
フウセンカズラ

・分類:一年草
・原産地:アメリカ南部
・草丈/樹高:1~3m
・開花期:7月~9月
・観賞期:7月~9月
・耐寒性:弱い
・耐暑性:強い
・特性や用途:つる性で、開花期が長く初心者でも育てやすい。
ゴーヤ(ニガウリ・ツルレイシ)

・分類:一年生草木
・原産地:熱帯アジア
・草丈/樹高: 4~5m
・開花期: 7月~9月
・収穫期: 7月~9月
・耐寒性:弱い
・耐暑性:強い
・特性や用途: 病気が比較的少ないので初心者でも育てやすい。実は食用。
パッションフルーツ(クダモノケイトウ)

・分類:多年草
・原産地:ブラジル
・草丈/樹高: 0.5~3m
・開花期: 6月~7月
・収穫期: 6月~8月
・耐寒性:弱い
・耐暑性:強い
・特性や用途: 芳醇な香りと鮮烈な酸味がり、甘味に比べて酸味が勝る酸っぱい果物
育て方・管理方法
1.方角や日の射し方、水やりのしやすさや人の動きなどを考え、カーテンの場所を決めます。その後、土を作った後にネットを設置します。
2.種をポットに植えて後からプランターに植え替える場合は、本葉が2~3枚出たら元気のないものを間引きます。根がポットの下に出てくるくらいまで育ったら、プランターに植え替えましょう。
3.プランターに植え替え、苗が定着したら、つるをネットに誘引します。誘引する際は、つるを丁寧に等間隔に広げ、育てたい方向のネットに絡ませてください。
4.茎や葉を増やしてグリーンカーテンの効果を上げるため、植物によっては芽の先を切り落とす“摘心(ピンチとも言います)”が必要になることもあります。
5.水やりや虫対策、病気対策を忘れずに行い、植物が開花、結実した後も追肥を行いましょう。
涼しさを求めるだけでなく
グリーンカーテンは目に涼しげなだけではなく、省エネ効果も抜群です。
最近では学校や企業のビルでも取り入れられてることからも効果が期待されていることがわかります。
ぜひ一度、グリーンカーテンを育てて効果を実感してください。
家族で育てることによって、お花の鑑賞や、野菜の収穫も同時に楽しんでみましょう。
【5】4月に農作業の始まる野菜
4月に種撒き、苗の定植などが始まる野菜の一例をご紹介致します。
※寒冷地や、温暖な地域などで差が出る場合もありますので、作付する地域の気候に合うように農作業を始めることをお勧めいたします。
| 作物名 | 一年/多年 | 生育温度 | 種まき | 苗植え | 旬の収穫時期 |
| 青唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
| 明日葉 | 多年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | 4月~5月 | 3月~9月 |
| アスパラガス | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 4月~7月 | 4月~6月 |
| いんげん | 一年生 | 20℃前後 | 4月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
| うど | 多年生 | 15~18℃ | – | 4月~5月 | 3月~5月 |
| 枝豆 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | – | 6月~8月 |
| 貝割れ大根 | 二年生 | 20℃前後 | 年中 | 年中 | 年中 |
| 蕪 | 二年生 | 20℃前後 | 4月~9月 | – | 10月~11月 |
| 南瓜 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~6月 | 4月~7月 | 7月~12月 |
| カリフラワー | 一年生 | 15~25℃ | 年中 | 年中 | 11月~3月 |
| キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~6月 |
| 胡瓜 | 一年生 | 20~25℃ | 4月~6月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
| くわい | 多年生 | 20~30℃ | – | 2月~4月 | 11月~2月 |
| こごみ | 多年生 | 22℃前後 | – | 3月~4月 | 4月~5月 |
| 牛蒡 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~5月 | – | 11月~2月 |
| 小松菜 | 一年生 | 15~25℃ | 3月~10月 | – | 12月~2月 |
| 里芋 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 8月~12月 |
| さやえんどう | 一年生 | 15~20℃ | 10月~8月 | – | 4月~6月 |
| ししとう | 一年生 | 22~30℃ | 2月 | 4月~5月 | 6月~8月 |
| 紫蘇 | 一年生 | 20~23℃ | 4月~6月 | 5月 | 6月~9月 |
| じゃがいも | 多年生 | 10~25℃ | – | 3月~4月 | 5月~6月 |
| 春菊 | 一年生 | 15~20℃ | 3月~5月 | – | 11月~3月 |
| 生姜 | 多年生 | 25~30℃ | – | 4月~5月 | 6月~8月 |
| 西瓜 | 一年生 | 25℃前後 | 4月~5月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
| ズッキーニ | 一年生 | 20℃前後 | 2月~6月 | 4月~6月 | 6月~9月 |
| そらまめ | 一年生 | 15~20℃ | 1月~3月 | 2月~4月 | 4月~6月 |
| 大根 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~4月 | – | 11月~2月 |
| 玉ねぎ | 多年生 | 15~20℃ | 2月~3月 | 4月~5月 | 3月~4月 |
| ちんげんさい | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | – | 9月~12月 |
| 蔓紫 | 一年生 | 20~30℃ | 4月~7月 | – | 6月~10月 |
| 唐辛子 | 一年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 7月~9月 |
| 冬瓜 | 一年生 | 25~30℃ | – | 4月~6月 | 7月~10月 |
| とうもろこし | 一年生 | 20~30℃ | 3月~7月 | – | 7月~8月 |
| トマト | 多年生 | 20~30℃ | 2月~5月 | 4月~7月 | 6月~8月 |
| 長芋(山芋) | 多年生 | 17~25℃ | – | 4月 | 11月~1月 |
| 長葱 | 一年生 | 20℃前後 | 3月~10月 | 4月~10月 | 11月~2月 |
| なす | 一年生 | 20~30℃ | 2月~3月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
| 苦瓜 | 一年生 | 20~30℃ | 3月~6月 | 4月~6月 | 7月~9月 |
| 韮 | 多年生 | 20~25℃ | 3月~4月 | 6月~7月 | 3月~5月 |
| 人参 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | – | 10月~12月 |
| 白菜 | 二年生 | 20℃前後 | 3月~9月 | 4月~5月 | 11月~2月 |
| パセリ | 二年生 | 15~20℃ | 4月~5月 | – | 3月~4月 |
| パプリカ | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
| ピーマン | 多年生 | 20~30℃ | 3月~4月 | 5月~6月 | 6月~8月 |
| ブロッコリー | 多年生 | 15~20℃ | 2月~4月 | 3月~5月 | 11月~3月 |
| ほうれんそう | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 11月~2月 |
| 水菜 | 二年生 | 15~25℃ | 4月~9月 | – | 12月~3月 |
| 三つ葉 | 多年生 | 17~20℃ | 3月~10月 | – | 3月~4月 |
| みょうが | 多年生 | 20~25℃ | – | 2月~4月 | 6月~10月 |
| 芽キャベツ | 一年生 | 15~20℃ | 年中 | 年中 | 12月~1月 |
| メロン | 一年生 | 20~30℃ | 4月~5月 | 5月~6月 | 5月~7月 |
| モロヘイヤ | 一年生 | 20~30℃ | 4月~6月 | 5月~7月 | 7月~8月 |
| ルッコラ | 一年生 | 15~20℃ | 4月~7月 | – | 4月~6月 |
| レタス | 一年生 | 15~20℃ | 2月~9月 | 3月~10月 | 4月~8月 |
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